前の話
一覧へ
次の話

第1話

発芽。
0
2026/06/03 23:12 更新
春。






図書室には今日も静かな時間が流れていた。






本棚の間を歩く生徒たち。 窓から差し込む柔らかな光。








そして。

























そこには一株の双子葉類が生息していた。
‪🌱‬
🌱双子葉類



身長:154cm

生息地:図書室、音楽室

特徴: ・よく笑う ・よくしゃべる ・好きな人にも普通に話しかける ・たまに口が悪い ・身長を欲しがる

特技:
楽器を吹くこと。クラリネット。

危険度:
★★☆☆☆
※怒ると蹴るぞという発言をする。





そして双子葉類の視界の先。





本棚の向こうから現れる大きな影。
🥦︎
🥦ブロッコリー

身長:178cm

生息地:図書室、体育館

特徴: ・髪型がブロッコリー ・よく笑う ・双子葉類をチビ呼ばわりする ・図書室によく出没する ・ジャージの破壊力が高い

特技:
バトミントン

危険度:
★☆☆☆☆
※現在のところジャージ以外への被害報告なし。
生態

双子葉類とブロッコリーは図書室で遭遇すると高確率で会話を開始する。


観察例。
🥦「チビ」
🌱「分けろ」
🥦「無理」
🌱「ケチ」


研究者たちは、この二種が口げんかをしているのか仲が良いのか未だ結論を出せていない。

しかし一つだけ確かなことがある。

双子葉類は、ブロッコリーが図書室にいないと少しだけ元気をなくす。




もっとも、本人は認めないだろうが。







図書室には不思議な生態系が存在する。
本棚。
机。
貸出カウンター。
そしてブロッコリー。




本を返しに来た双子葉類は、本棚の横の椅子に巨大な緑色の物体を発見した。




正確には人間である。
‪🌱‬
…いた。
🥦︎
誰が物体だ
‪🌱‬
心読めんの?きも







双子葉類は席に荷物を置く。


ブロッコリーは本を閉じる。


いつもの流れだった。


特別な約束などない。


待ち合わせもしていない。


けれど。





図書室へ来れば、だいたいいる。







‪🌱‬
今日部活ある?
🥦︎
ある
‪🌱‬
毎日あるやん
🥦︎
黙れ吹部
会話はだいたい中身がない。


でも不思議と続く。


本当に不思議である。
キーンコーンカーンコーン ___ …
昼休みの予鈴がなったようだ。
‪🌱‬
んじゃまた
🥦︎
おー
教室への帰り際。

双子葉類はふと窓の外を見る。

お昼頃の光が図書室の中を明るくしていた。

本棚の影が伸びる。

静かな時間だった。
‪🌱‬
…(にま)
双子葉類の顔が若干緩んでいるのに、きっと本人は気づいてないだろう。

プリ小説オーディオドラマ