吐く息が荒い。頭の中はとっくに真っ白になっていた。
息を切らしながら、私は必死に"奴等"から夜の江戸を走って逃げる。
だがしかしー。
私が逃げ込んだ場合は、行き止まりだった。
後ろからドタバタと足音が聞こえ、恐る恐る振り返ると、そこにはー。
「やっと追い詰めたぜ。全く、手間かけさせやがって。」
ジリジリと距離を詰めながら、"奴等"は自身の刀を鞘から抜いてゆく。
どうにかしなければ、そう思うのだが、
私は怪我や体力の限界が来ていた事もあって、ろくに動けなかった。
"奴等"は一斉に襲いかかって来た。
痛みを覚悟し、ギュッと目を瞑った。
が、いつまでも痛みがこなかった。
不思議に思った私は、目を少しずつ開ける。
そこに居たのは、攻撃を受け止めて私の前に守るように立っている、1人の侍だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。