第3話

第1章 夜
574
2020/05/04 14:49
吐く息が荒い。頭の中はとっくに真っ白になっていた。
息を切らしながら、私は必死に"奴等"から夜の江戸を走って逃げる。

だがしかしー。
私が逃げ込んだ場合は、行き止まりだった。
後ろからドタバタと足音が聞こえ、恐る恐る振り返ると、そこにはー。

「やっと追い詰めたぜ。全く、手間かけさせやがって。」
ジリジリと距離を詰めながら、"奴等"は自身の刀を鞘から抜いてゆく。
どうにかしなければ、そう思うのだが、

私は怪我や体力の限界が来ていた事もあって、ろくに動けなかった。
"奴等"は一斉に襲いかかって来た。
痛みを覚悟し、ギュッと目を瞑った。
が、いつまでも痛みがこなかった。

不思議に思った私は、目を少しずつ開ける。
そこに居たのは、攻撃を受け止めて私の前に守るように立っている、1人の侍だった。

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