忘れ物を取りに教室へ向かう夏奈。
不気味な雰囲気漂う学校の様子に
不安になりつつも足を進める。
勇気を出して教室へ向かう夏奈。
教室に入ると、窓側に何かが蠢いているのが
見える。
近づいてよく見てみると、それは昼に
夏奈が世話をしていたヒマワリの植木鉢だった。
夏奈がほっとため息をつきながら植木鉢を
見つめていると、突然窓の外から
カサカサという音が聞こえてくる。
驚いた夏奈は窓の外を見つめる。
すると、大きな虫が這いまわっている姿が
見える。
驚いて後ずさりする夏奈。
大きな虫が窓に張り付いている。
虫はバンバンと窓を叩きながら、
夏奈を威嚇するような声を出している。
恐怖に震える夏奈を見つめながら、
巨大な虫は相変わらず窓を叩き続けている。
そのとき、廊下の端から誰かが歩いてくる
音が聞こえる。
夏奈の友達の殊音だ。
殊音は夏奈の肩を掴んで落ち着くように言う。
しばらくして、スプレーを持ってきた殊音が
窓に近づいてくる。
虫は窓と窓の隙間をすり抜けて、
少しずつ夏奈に近づいてきている。
殊音は、慣れた手つきで虫に向かって
スプレーを噴射する。
すると、瞬く間に虫は力尽きて下に落っこちる。
その時、廊下の向こうから誰かが走ってくる
音が聞こえる。
夏奈のクラスメイトの夢華だ。
悩ましげな表情で、殊音と顔を見合わせる夏奈。
夏奈と夢華は一緒にトイレへ向かう。
用心深くトイレに入る2人。
個室を一つ一つ確認していく。
夢華は緊張した様子で夏奈の服の裾を
つかんでいる。
夢華の緊張が移り、ゴクリと生唾を飲む夏奈。
一番奥の個室の前に立つ。
最後の個室のドアノブを掴んで開けようと
する夏奈。
そのとき、突然トイレの電気が消える。
暗闇の中で、誰かがクスッと笑う声が聞こえる。
暗闇の中からゆっくりと歩み寄り、
夏奈のすぐ前に立つ花子さん。
驚いた表情で、花子さんを見上げる夏奈。
花子さんは悲しい過去を回想するような目を
する。
彼女の言葉が終わると、周囲が再び明るくなる。
そのとき、夢華が夏奈の腕を掴む。
花子さんを見つめながら、震える声で話す夢華。
夢華は夏奈を連れてトイレを出ようとするが、
花子さんが彼女たちの前を遮る。
一歩ずつ近づいてくる花子さんを見て、
怯えた表情になる夢華。
小さな声で夏奈に話しかける。
夢華の言葉に夏奈が答えようとした瞬間、
花子さんが先に口を開く。
驚いた様子で目を見開き、夏奈を見つめる夢華。
不満気な表情で夢華を見る夏奈。
しかし、すぐに花子さんの方へ向き直る。
花子さんの目が冷たく光り、彼女は
断固とした声で答える。
ハッとした表情で花子さんを見つめ、
一歩後ずさる。
少し和らいだように、夏奈の肩から
手を離しながら言う花子さん。
ホッと胸を撫で下ろしながら、夢華と
花子さんを交互に見る。
スマホを取り出して、夢華と花子さんに見せる。
その場には夏奈と夢華、そして花子さんがいる。
しかし、花子さんの姿は写真には映っていない。
代わりに、背景の空間が歪んでいる。
花子さんは写真を見下ろしながら
残念そうな声で言う。
夢華と花子さんと別れ、家に帰る夏奈。
こうして、幽霊少女と出会った不思議な一日は、
午前零時の鐘と共に終わりを告げた。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!