めっちゃ申し訳なさそうな顔するじゃないか…。
ほんっとにいいのに。
なんならもう怖いからこれ以上受け取るの。
トートバッグにパンパンなんですよ頂き物が。
納得いかなそうな顔をしていた木葉が、不意に小さく声を上げたと思ったら、自分の弁当の袋をあさりだした。
まさか弁当の残りの唐揚げ食う?とか言わないよな。
というか、さすが男子高校生(運動部)の弁当袋。
デカい。
動くとお腹空くもんなぁ。
男子だからまだまだ身長も伸びてるだろうし。
…てか部活行かなくていいんだろうか。
そう言って木葉が取り出したのは…チョコ味のプロテインバーだった。
まじかよ。
いや、嫌味ではなく。
「ホワイトデーは三倍返しが絶対よ!プロテインバーだなんて認めないわ!」って言うことじゃなくて、ただただ「え、くれるの?」っという驚きだ。
どうやら私が知らなかっただけで、ホワイトデー当日にお返しをしないことはかなりの大罪にあたるらしい…。
…なによ、そんなに私に借りを作るのが嫌なの!?!?
まあ木葉に限ってそんなことはないんだろうけど。
運動後は筋繊維がちぎれているので、それ以上筋肉が分解されないように一刻も早く補食で栄養を摂る____。怪我を防ぎ、体を作るために。
スポーツ栄養学かなんかの常識中の常識だ。
私も運動部なので、頭に叩き込んどけ、と監督によく言われる。
バレー部器用貧乏部門の期待の星に怪我させるわけにいかない。
まだ食い下がるのか、こいつ。
補食に関しては本当に申し訳ないし、人の食べるものを奪い取る趣味はない。
木葉が、「何言ってんだ」みたいな顔をしてさも当然かのように言った。
本当にそこに何の疑問もないようだった。
思わず小さく息がもれた。
びっくりして。
まさか木葉がそんな純粋な目で礼儀とか言い出すとは思わなかったよ。
こいつ、ほんとに、ほんとに…
いいやつすぎる。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。