一瞬、七瀬が目を丸くする。
そう言って渡辺が先に歩いていく。
七瀬はその背中を見ながら、小さく笑った。
すると隣から声がする。
まだ完全に元通りじゃない。
でも。
昨日より今日。
今日より明日。
少しずつでいい。
そう思いながら、七瀬はメンバーの後を追いかけた。
午後の収録へ向かうため、メンバーはそれぞれ車に乗り込んでいた。
七瀬は全員が乗ったことを確認し、最後に自分もスタッフ車へ乗り込もうとする。
すると――
七瀬はそのままメンバーの乗っている車へ向かう。
ドアを開けると、
3人「りょ?」
そう言って乗り込む。
車内には、深澤、阿部、目黒、佐久間、渡辺、七瀬。
七瀬は膝の上にタブレットを置き、午後のスケジュールを確認し始めた。
七瀬は首を傾げる。
その様子を見ていた佐久間が、ふっと笑った
七瀬の手が止まる。
佐久間も少しだけ固まる。
七瀬はそれ以上聞かなかった。
けれど、少しだけ口元が緩む。
――相変わらず。
その言葉が、なんだか嬉しかった。
以前の自分を知っているからこそ出てくる言葉。
それだけで、少し距離が近づいた気がした。
そんな中___

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。