何処かで聞き慣れたような音がした。
音がした方を向いてみる。
どうやら音が鳴ったのはあたしの後方かららしい。
後ろに目をやると地面には自分の落とした学生鞄。
思い出したように呟くあたしに不思議そうに首を傾げるシャンクスさんを見向きもせずに
学生鞄を開けて命と同じくらいには大切なスマホを夢中で取り出す。
そう重々しく呟いた男はさっきのロマンスグレーの彼。
男前の顔に似合う頭に優しく響く良い声だった。
ただ、彼の手に持っているものは優しさの欠片もないものだった。
カチャリ、と鉄のなる音がする。
平和な日本では生涯で見ることの方が珍しい品物だった。
思わず鞄を探る手が止まる。
震える身体を抑え込んでロマンスグレーの彼の顔を見つめる。
けたけたと笑いながらまた貶すような事を言い続けるシャンクスさん。
そのベックと呼ばれる男性はこのような状況に慣れているのか
また深くため息をついて、持っていた銃を下げる。
その整ったご尊顔の眉間に深い皺を刻んでいた。
呆れて伏せていた目をこちらに向けたら、鋭い視線で早く探し出せと促す。
手に持ったものはよく手に馴染んでいる。
あたしの愛用スマホだった。
電源ボタンを入れれば問題なく使えるみたいで、いつものように分からないことを聞いてみることにした。
相棒のSiri様に
Siriが反応した事により、赤髪の皆さんには衝撃が走っているみたいだった。
あの冷静そうなベックさんだって目を見開く始末。
でも、そんなことよりも、気になる事が多すぎる。
Siriさん、ノリで使ってみたけど、本当に使えるとは思ってなかった。
だってここWi-Fiなさそうだもん。
運動神経は学校一を張れるくらいよくっても、実は頭はそこまでよく無かったりする。
漫画みたいに文武両道とはいかないものだ。
まるで空気を読んだようにSiri様が素晴らしいご提案をしてくれる。
待ってください。好きです。ありがとう。
さっきからずっと驚きっぱなしのシャンクスさんが声をまた荒げる。
だけどあたしだって驚きばっかりだ。
ここの世界にも和の国があるなんて驚きだ。
鎖国とか言ってるし、もしかしたら日本と同じで平和かもしれない。
そんなことを思いながら二人のほうに視線をやる。
二人はぼそぼそと耳打ちをしあっていて、こちらの方を奇妙な目で見てくる。
それは疑わしいと思われているということが明白だった。
きっとこのまま話を流していても絶対に怪しまれるのは明白。
それなら本当のことを話してしまおうと伏していた顔をあげて言葉を紡ぐ。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。