リョウガ side
ユーキの言葉に、小さく頷いたあとも、心臓の音はまだうるさかった。
ドクドクと、やけに大きく響いて、さっきの音も、炎の光も、まだ頭の奥にこびりついて離れない。
でもユーキの手は、ずっとそこにあった。
「ここにいろ」って言われてるみたいで、それだけでギリギリ踏みとどまれる。
そのカイの一言で、メンバーが一列に並び直す。
歓声が会場いっぱいに広がる。
その音に、さっきまでの嫌な感覚が少しずつ上書きされていく気がした。
“怖い音”じゃなくて、“楽しい音”だって、
頭のどこかでちゃんと理解し直せていく。
それぞれ、順番に今日の感想を言っていく。
一瞬、言葉が詰まる。
まだ少しだけ、呼吸が浅い。
でも、隣から伝わる体温に背中を押される。
客席から、優しい歓声が返ってくる。
やめろ、それ以上言うな。
変に説明しなくていい。
頭ではそう分かってるけど、きっとファンのみんなも僕の様子がおかしいことは分かってる。
せめて、これ以上心配させたくなかった。
一瞬、客席がざわっとした。
でも、すぐに——
そう続けたら、
今度は一気に、温かい拍手が広がった。
その音に、胸の奥がじんわり熱くなる。
言い切って、軽く頭を下げる。
その瞬間、ユーキの手が、ほんの少しだけ強くなった気がした。
そう言うとタカシは俺に早く!と言わんばかりにアイコンタクトを取ってくれた。
" 超特急でした! "
全員で頭を下げる。
ステージの照明が少しずつ落ちて、
客席の光も遠ざかっていく。
——終わった。
完全に暗転した瞬間、
身体から一気に力が抜けた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。