第99話

続き
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2026/05/25 01:48 更新
リョウガ side

ユーキの言葉に、小さく頷いたあとも、心臓の音はまだうるさかった。
ドクドクと、やけに大きく響いて、さっきの音も、炎の光も、まだ頭の奥にこびりついて離れない。


でもユーキの手は、ずっとそこにあった。
「ここにいろ」って言われてるみたいで、それだけでギリギリ踏みとどまれる。

カイ
それでは号車順に並びましょうか


そのカイの一言で、メンバーが一列に並び直す。

ハル
今日はほんとにありがとうございましたー!!
アロハ
最高だった人ーー!!
8号車
はーーーい!!!


歓声が会場いっぱいに広がる。
その音に、さっきまでの嫌な感覚が少しずつ上書きされていく気がした。

“怖い音”じゃなくて、“楽しい音”だって、
頭のどこかでちゃんと理解し直せていく。


それぞれ、順番に今日の感想を言っていく。

カイ
リョウガさん、感想言える?
りょうが
……えー、


一瞬、言葉が詰まる。

まだ少しだけ、呼吸が浅い。
でも、隣から伝わる体温に背中を押される。

りょうが
今日は……ありがとうございました


客席から、優しい歓声が返ってくる。

りょうが
途中ちょっと、あの……


やめろ、それ以上言うな。
変に説明しなくていい。

頭ではそう分かってるけど、きっとファンのみんなも僕の様子がおかしいことは分かってる。

せめて、これ以上心配させたくなかった。

りょうが
炎とかびっくりしたけど


一瞬、客席がざわっとした。
でも、すぐに——

りょうが
でも、それ以上に、楽しかったです


そう続けたら、
今度は一気に、温かい拍手が広がった。

その音に、胸の奥がじんわり熱くなる。

りょうが
また、必ず会いましょう


言い切って、軽く頭を下げる。
その瞬間、ユーキの手が、ほんの少しだけ強くなった気がした。

タカシ
それでは皆さんご一緒に!


そう言うとタカシは俺に早く!と言わんばかりにアイコンタクトを取ってくれた。

りょうが
以上僕たちは!


        " 超特急でした! "


超特急
ありがとうございました!!


全員で頭を下げる。

ステージの照明が少しずつ落ちて、
客席の光も遠ざかっていく。

——終わった。

完全に暗転した瞬間、
身体から一気に力が抜けた。

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