【橋本将生side】
あまりにも、気が重たい。
今日はあの話し合いからの初めての収録。
俺が原因になってしまったとはいえ、ぶっちゃけ上手くいく気がしない。
俺は自分の頬をパンと叩いて、家を出た。
スタッフさんからはすぐに目を逸らされた。
人と人との信頼って、こんなにも脆く崩れ去ってしまうものなんだ。
そのことを、今更実感した。
仕方なく俺はソファに座る。
そして改めて自分のしでかしたことの大きさを知る。
一体どこで間違えたのだろうか。
もしもあの時ムキにならずにグッと飲み込んでいれば、違っていたのだろうか。
きっとあの時に戻っても、同じようなことをしてしまう気がする。
でも、今のままでは話さえまともに聞いてはくれないだろう。
みんなは俺から離れていった。
そして3人で話を始めてしまった。
ダメだ。
ここで俺が被害者みたいな顔をしても意味がない。
再び距離が離れた。
俺は悟った。
今のままでは、何もできないことに。
俺は座り込んで、下を向くことしかできなかった。
あっという間に4人も輪の中に入っていった。
ダメだ。
まともに話を聞いてはくれないようだ。
その時俺は、どうしようもない気持ちを抱えた。
今まで抱いたことのない、発散方法も分からない変な気持ち。
この心を、どうしたらいいんだろう。
収録が終わる。
それなのに、何の達成感も感じない。
薄々感じてはいた。
俺がみんなから求められていない動きをしたことは。
それでも、俺にとっては面白いことをしたつもりだ。
しのは何を伝えたかったのだろうか。
だが、今はそれどころではない。
この願いは、叶うのだろうか。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。