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第1話

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33
2024/06/08 23:00
現在23:50
もう夏に入るが、夜は少し肌寒い。
リアナ
リアナ
……はぁ。
薄手のカーディガンを抑えながら、私は夜の街を歩く。
もう2時間は経っているだろう。
深夜に未成年が外出してはいけないというのはもちろん知っている。
でも、そんなことを無視するくらい、私には重大な事が起こっている。
リアナ
リアナ
…どこに、消えたの…。
友達が___ついさっきまでいたはずの友達が、突然姿を消してしまった。
遡ること3時間前______
???
今日のショッピング、楽しかったね!
リアナ
リアナ
ほとんどクレーンゲームで遊んでただけでしょ。
???
えへへ、でも、あの服リアナに似合ってたよ?
買えばよかったのに。
リアナ
リアナ
私はいいの。
ショーパンしか勝たない主義だから。
???
それもそうかあ。
リアナは昔っからショーパンしか履かない……
彼女は急に止まって、路地裏の方を見る。
何かに取り憑かれたように。
リアナ
リアナ
ど、どうしたの?
彼女は淡々と言った。
???
誰か、泣いてる、声がする。
???
とても、とても、紅い月。
???
リアナ、聞こえる?
リアナ
リアナ
………。
正直、私は分からなかった。
彼女は、たまにこういうとこが出てくる、少し変わってる子だ。
でも、今のあの子は、何かが違う。
???
上、見て。
リアナ
リアナ
上……。
リアナ
リアナ
…………!!
私は息が詰まった。
月が、まるで血のように、紅く染まっている。
リアナ
リアナ
…ねぇ、今日はもう、早いこと家に__
隣には誰もいなかった。
さっきまでいたあの子が、消えていた。
  
 
 
 
とても、似ていた。
 
  
 
 
最近流行りの、失踪事件に。
 
 
  
 
 
リアナ
リアナ
……。
どれだけ歩いたのだろうか。
私は、いつのまにか公園にいた。
そこは、ブランコとベンチしかない公園だった。
リアナ
リアナ
今、何時なんだろ…。
リアナ
リアナ
……少し、休憩しよ…。
私は、ベンチに腰をおろした。
少し冷たかった。
リアナ
リアナ
……。
見上げると、星が綺麗に見えた。
そういえば、今日は満月なんだな。
さっきまでの月が嘘のように、金色に輝いている。
………そろそろ、家に帰らないといけないかもしれない。
今の私は、とても眠い。
それなのに、眠れる気分じゃない。
リアナ
リアナ
………見つからなかった…。
リアナ
リアナ
…私の、友達。
暖かいモノが頬を伝う。
私の顔から溢れるソレは、雨のように溢れ出した。
そして、溢れる雨粒が涙だと気付くのに、数秒かかった。
 
 
 
 
……なんで、いないの。
 
 
 
 
私の心は、それだけで満たされていた。
リアナ
リアナ
……え……。
信じ難い光景だった。
リアナ
リアナ
空間が………
リアナ
リアナ
割れて…いる……?
しかも、割れ目の先には、見たことのない風景が流れている。
私は、恐る恐る手を伸ばした。
リアナ
リアナ
…入れる。
と同時に、何かが頭の中をよぎった。
 
 
 
わたしはここだよ。
 
 
 
囁くような、叫ぶような、そんな声だった。
リアナ
リアナ
この声………。
リアナ
リアナ
間違いない。
あそこにいるんだ…!
私は、自分自身に問いかける。
リアナ
リアナ
……ねぇ、私はこの暗闇が怖いと思う?
もちろん、答えは……
リアナ
リアナ
いいえ。
あの子がそこにいるなら、絶対迎えに行って見せる。
覚悟の準備は既にできている。
 
 
 
私は、その割れ目に近づく。
 
 
 
そして、未知なる世界へ、
 
 
 
 
 
 
飛び込んだ。
 
 
 
 
 

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