No side
エイトが魔術で扉の鍵を閉める音がしたが、突然の出来事に混乱するあなたの耳には届いていない。
グリグリ、と無言であなたの肩口にエイトは顔を押し付け、両腕を腰に回した。
あなたは前にもエイトの悪周期で似たような体勢になったことを思い出す。
恋人に抱きしめられてる事実に嬉しくもあり、混乱しているとエイトがポツリと小さく呟いた。
肩口から顔を離したエイトとあなたが至近距離で目が合った。
バツが悪そうに、顔を背けてそう返事をしたエイトの顔が思いの外赤くてあなたは頬を緩める。
そして、自身もエイトの腰に両腕を回した。
嬉しそうに微笑んでそう言うあなたにエイトは釘付けになる。
先程エイトがしていたように、今度はあなたがエイトの胸板にグリグリ、と顔を押し付けた。
見上げると、ムスッとしたエイトと目が合うがただただ可愛いとしか思えないあなた。
拗ねた表情から打って変わって、不安が滲んだ瞳であなたの反応を窺うエイト。
コツン、とエイトが自身の角をあなたの額に合わせた。
エイトが片手の指でツー…とあなたの頬を撫で、その手を後頭部に回すと、自身の方へ引き寄せながら呟いた。
そしてまもなく、静かな会議室に似つかわしくないリップ音が響いたのだった。
スキ魔
用意された部屋に戻る道中。
この後、男子寮の一室に悲鳴と怒号が響き渡った。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。