会議の後、通話から落ちようとするとちょうどなつが声をかけてきた。
決して心配というわけではなくもしも食べるものがなくてお腹をすかしていたら可哀想だから様子を見に行くだけだ。
決して心配なわけじゃない。
通話越しなのになぜかなつのニヤついた顔が頭に浮かんで無性に腹が立った。
ピンポーン
5回目のチャイムを押した。
しかし結果は見ての通り空振りだ。
果たして体調が悪くて出れないのかそれとも女と遊びに行ってるのか。
後者はぶっ飛ばす。
呼びかけてみるが家の中からは返答はない。
試しにドアに手をかけると不用心な事に開いた。
ったく。鍵ぐらい閉めとけ。
玄関をみるといつもらんが履いている靴が並べられていることから家にはいるらしいということが分かった。
あるしゅの罪悪感を感じながら玄関に上がる。
いるとしたら寝室だと言う見当を付けて突き当たりの部屋に近づく。
その時、かすかに鼻をすする音が聞こえる。
音は寝室からした。
恐る恐る部屋を覗き込むと大きく膨らんだ布団が目に入った。
今度はもうちょっと大きな声で呼びかけると布団の中の物体がビクっと跳ねた。
いつもより少し掠れた声は風邪だと思えば納得できる。
だか、布団から覗かせたらんの瞳は涙に濡れていた。
びっくりして駆け寄るとらんは布団を頭の上までたくし上げた。
頭痛い?と聞くと首を横にふった。
代わりに嗚咽をもらす。
「いるまぁ……」と小さな声でもらすらんはいつもの頼もしいリーダーの面影は感じられなかった。
再び尋ねるとらんは返事の代わりに嗚咽混じりに呟いた。
何バカなことを。
そう笑い飛ばしてやろうと思った。
しかし少し覗いたらんの瞳は殊の外真剣で心配そうだった。
なぜだからんのその姿に胸を締め付けられて必死の思いで声を絞り出した。
「そっかぁ」と小さく微笑むらんはそれでも納得できないようだった。
そこで始めてらんはなんでこんなに落ち込んでるのか考えた。
俺やメンバーと喧嘩したってこともないだろうし家族と喧嘩ってこともなさそうだ。
活動が伸び悩んでるわけでもなさそうだから果たして何が理由なのか。
ピコン
スマホの着信音が聞こえる。
自分のスマホを開いてみるも着信は来ていない。
机の上に置いてあるらんのスマホを渡そうと手を伸ばした時、たまたまスマホの画面に映っている文字列が見えた。
なんでロックしてないんだよと突っ込みそうになるのも束の間、次の瞬間には息をのんでしまう。
俺の認識が甘かった。
らんはいくら少数派からのアンチだろうと誹謗中傷だろうと気にしてしまうのだろう。
気にすんなというのは簡単なのかもしれない。
でも必要以上に素直ならんはそれを無視することができなかったのだろう。
……なんで全部1人で。
……1人で抱えて。
みるみるうちにらんの目に涙がたまっていく。
らんの頭を撫でてやるとらんは本格的に泣き始めた。
らんの苦労を分かってるつもりでいたけどなんにも分かってやれてなかった。
やっとの思いで声を絞り出すとらんは体をこわばらせて小さく震える。
一緒に数年間過ごしてきた俺の言葉なら、らんも信じられるんじゃないか。
一緒に笑い合ってきた仲間だからこそ言葉の重みが変わってくるんじゃないか。
目を見開いたらんは涙をぬぐった。
らんは聞こえるか聞こえないか分からないぐらいの声で頷く。
らんの頬を伝っていた涙をぬぐってやるとらんはようやく微笑んだ。
さっきの気を使ったような微笑みでも無理した微笑みでもなく。
そんならんの言葉は俺の心に深く響いた。
数年間一緒に過ごしてきた仲間だからこそ言葉に重みがあったんだ。
『俺も』
そんな言葉は胸のうちに抑えてらんのおでこを弾く。
『知ってた』
毎回思うんだよな、これは果たしてリクエストされたものなのかという。
これはこれで需要はあるけどなんか違うんだよなぁ
導入が長くてほんまに書きたいところ書けてないわ
ということで、い め なちゃんのリクエストでいるらん書きましたー!
今回の短編はどうでしたか?
コメント&リクエスト待ってまーす。
おつあさ!
P.S.アイコン変えたの気付いた?












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!