_あれは、虚しいほどに空が澄んでいた日のこと。
前からもう余命は少ないと聞かされていたお母さんが、帰らぬ人となった。
そして、その日からお父さんも二度と家に帰って来なくなった。まあ、お父さんが私達に全く構わないのは前からだからそんなことはお母さんがいなくなったことに比べたら痛くも痒くもなかったけど。
あっ、お金の件以外は、ね。
それから、私と妹で2人だけの生活が始まった。
ありがたいことに、生活費はお父さんが引き続き払ってくれたから、最低限の生活は出来たけれど、家事や買い物はしないといけなかったし、お金も少しでも貯めた方がいいと思ったから、私は学校を辞めてそちらに専念することにした。本当は辞めたくはなかったけど、いま残っている唯一の家族で、大好きな妹のためになると思ったから。
「いってらっしゃい!今日も楽しんでね!」
「…うん。行ってきます!」
べつに、特別楽しいわけではないけど、妹とはとても仲が良かったから、普通に生活できているだけで私は幸せだった。
だから、この生活がずっと続いてほしいと、続いていかないわけがない、と心のどこかでいつも思っていた。
__いや、願っていた?
まあ、普通ならこんなことを思いながら生活はしないだろうから、これは私の心の一部を常に占めていた不安を、かき消すためのおまじないのようなものだったのかも知れないけれど。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!