スツールから伸びた細い脚をぶらぶらさせる太宰双子。
双子は森の部下ではないしマフィアですらない。勿論隠し子でも、拾った孤児でも、医療助手でもない。
双子と森との関係を正確に言い表す言葉は存在しない。
あえて、現実に近い単語を用意するとするなら───運命共同体だ。
森はため息をついて云った。
3人が運命共同体となったのは、1年前のこと。首領専属の侍医であった森と、担ぎ込まれた自殺未遂患者に過ぎなかった双子が結託して、ある秘密作戦を実行した。
ポートマフィア先代首領の暗殺。
そして遺言の捏造だった。
双子が妙に澄んだ声で云った。
一瞬、森は自分の内臓に、冷たい氷を押し付けられた様な気がした。
不安の表情は相変わらず内面を読ませない。氷点下の湖面のように静かだ。
国木田はぼそっとそう漏らした
国木田だけではなく武装探偵社の者全員がそう思って居るだろう
双子は冷たい目をして云った。
森の内側で感情が激しく波打った。
少年少女の視線が、静かに森を貫いてくる。
まるで、人体内を透視する医療機器のように。
医師と少年少女は、暫くの間、無言の視線を交わしあった。死神と獄卒が睨み合っているかのような瘴気が部屋に満ちた。
森の頭の中で、何度目になるか判らない単語が警報のように反響した。
計算違い。
お前は計算違いをした。
最適解を読み損ねたのだ。
この子供達は共犯者に選ぶべきではなかったのだ。
双子は底が知れない。彼等が時折見せる、悪夢めいた思考の鋭さ。観察眼。マフィアという鬼の巣の中にあって尚例のない、凍える怜悧さ。
双子はぼやっとした顔に戻って云った。
森はそんな双子を黙って観察した。
鋭いかと思えば、すぐにその怜悧さを消す。何もかもを見通しているように見えた直後には、意味不明で理解不能な自殺嗜癖で周囲を煙に巻く。
首領になるまで想像だにしなかったことだが、二人の言動はある人物を想起させた。
森は思わず云った。
首を傾げる双子の質問には答えず、森は小さく微笑んだ。
双子に死なれる訳には行かない。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。