前の話
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朝の万事屋。
障子をすかす光が部屋の埃を照らし、
静かなのはほんの数分だけ。
「おーい銀ちゃーん!ご飯まだアルかー!腹減ったヨ!」
神楽の声が響くと同時に、
銀時はちゃぶ台の上に突っ伏したまま動かない。
「……オレの分も残してから叫べや……」
寝ぼけた声でつぶやくと、神楽は容赦なく枕をぶつけた。
「残してほしかったら、起きるネ!」
銀時は顔だけ上げ、片目を細める。
「朝っぱらから暴力ヒロインかよ……。
ああ、平和だなぁ……地球滅びねぇかなぁ……」
「そんなこと言わないでください!」
新聞を片手に新八が入ってくる。
「依頼ひとつ来てますよ。
“落とした犬を探してほしい”って。」
「……犬探し?また犬かよ。
この間も猫の次に犬で、その次はハムスターだっただろ。
俺たち動物探偵事務所か?」
神楽がニンマリする。
「いいじゃないアルか、動物は裏切らないヨ。人間よりマシネ。」
「お前が言うと重ぇんだよ。」
結局、三人はなんだかんだ言いながら外に出る。
銀時はアイスをくわえ、神楽は酢昆布を噛み、新八はため息をつく。
「銀さん、またそれ食べて……朝ご飯それですか。」
「栄養バランスの頂点だぞ。氷と砂糖で涼しさと元気を補給できる。」
「そんな理屈あるかぁぁぁ!!」
通りの人が振り向く。
銀時は平然とした顔でアイスをかじりながら言った。
「新八、声がデカい。恥ずかしいだろ。」
「どの口が言ってんですか!」
神楽はそんなふたりを横目に、
「まぁまぁ、今日も平和ネ。」
とつぶやいた。
銀時がちらりと空を見上げる。
どこまでも青い空に、白い雲がゆっくり流れていく。
「……ああ、平和だな。
依頼がなくても、こうしてバカやってられりゃ、それでいいや。」
神楽と新八が顔を見合わせる。
次の瞬間、三人の笑い声が商店街に響いた。
どこかの誰かにとっては、なんでもない一日。
でも、彼らにとってはそれが“幸せな日常”だった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。