眠りを妨げてくる朝日に目を覚ます
ゆっくりと起き上がっては周りを見渡す
自分の部屋なのは瞬時にわかった。
なんの変哲もない、ただの普通の部屋。
私は思わずため息をつきたくなる。それを堪えて私はベッドから身体を起こした
そして学校の制服を着てバッグを持ってすぐ家を出た
家から学校はそう遠くない。なのにどこか足取りが重く身体さえ怠く感じた
でもそんな思考を止めて重い鎖のような足を速めた
私は教室についても誰にも挨拶はされない
そんなのは日常茶飯事だ
私はバッグから勉強道具を取り出し、あらゆる問題とにらめっこをする
――― あなたの名字さん
思わずノートに走らせていたペンを止めた
顔なんて見なくても分かってしまうことが癪だった
顔をゆっくりと上げれば
真っ黒の学ランを着崩すことなく着ている彼
そしてあっちこっちに跳ねている紫髪
そして一見穏やかで優しく微笑む彼
王馬小吉だ。
「おはよう、朝から勉強なんて凄いね」
そう言いながら私の前の席に肩から掛けていたスクールバッグを下ろした
「…どーも」
私はこいつが苦手。何故かはわからなかった。
…でも無意識に
――― あ、こいつはダメだ
そう思ってしまった
「…あ、あなたの名字さん、ちょっと放課後いい?」
「…なんで?」
「ちょっと話したいことがあって」
そう言いながら笑えば元々童顔の彼の表情は周りに花が咲いているようにすら見えた
でも、自分の苦手意識からか私はこの表情すら嫌気がさした
「…でも、今日は…」
「じゃ、オレ、待ってるからね」
どこか強引さがあるかのような言葉を残して彼は教室を出ていった
思わずため息がこぼれた。
空の色がオレンジの夕日に染まっていく
いつもは今時帰路についている。
そう、いつもは。
でも今日は王馬の後ろをついて行く。
わざわざ場所を変える話らしい。
それすら彼に嫌気がさす
彼のあっちこっちに跳ねる髪すら見る気になれなくて足元に目を向ける
でも突然に止めた彼の足に私の足も釣られて止まる
「オレさ、好きなゲームがあるんだよね」
いきなり何の話だろうか
なぜ、今王馬からこんな話をされている?
彼が自分の方にゆっくりと振り返って
――― ダンガンロンパっていうゲームに
その聞きたくもない言葉ほど、耳に嫌なほど響く
彼女は顔なんか上げられなかった。
彼を見れなかった。
いま、私の目を、丸くしているだろう
いや、そんな可愛らしいもんじゃないかもしれない
恐怖が頭に張り付いたかのように顔が青ざめているだろう
それと同時に背筋が凍るかのような感覚
目の前の彼はそんな私を見て
ほくそ微笑むのだろう
――― "前と同じように"













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。