お互いに子供みたいだと思った。
くだらない理由で口論して、
すっかり口聞かないモード。
こんな人と話しても埒が明かない。
さっさとお風呂入って、
さっさと布団の中に潜り込んだ。
あーあ、寝室分ければよかった。
付き合いたての頃はラブラブでさ、
ベッドはひとつでいいよね。
とか言っちゃって。
お互いにベッドは分けたい派だったくせに。
買った時に「 お金浮くし 」みたいな言い訳しちゃって。
バカップルにも程があるっての。
そんなバカップルのせいで、
この家にはベッドかソファの選択肢しかない。
部屋片付けてベッド置こうかな。
翔太がドアの方から声をかけてくる。
もちろん私は寝たフリ。
今話したってまともに解決するわけないもん。
悪いのは翔太だし。
なんて考えてる自分も子供みたいだけど。
買ってきた、って、
今行ってきたの?
こんなに寒い中?
でも、その手には乗らない。
好きなもの渡しとけば、みたいな雰囲気丸わかり。
翔太の話なんて聞いてやるもんか。
そうそう、寝てますよー。
翔太と話したくないから寝てまーす。
なんて思う自分が馬鹿らしい。
眠ってるってことにすれば、
話さなくて済むからね。
床にどさっと何かが落ちる音が聞こえた。
ゴロゴロと何かが転がる音も同時に。
それから、ベッドに潜り込んでくる気配。
お腹の下から回ってくる腕。
背中に押し付けられた翔太の顔。
そして、鼻をすする音。
このたった数秒で、
翔太が泣いていることに気づいてしまった。
背中に顔をグリグリ押し付けながら、
翔太は怒られた子どもみたいに声を殺して泣いている。
背中が涙で湿っていくのがわかる。
そんな感覚があまりにも心苦しくて、
思わず翔太の方へ体を向けた。
目が合うと、翔太は咄嗟に顔を隠す。
見られるのが嫌なんだろうなってわかったけど、
そんなの無視して翔太の腕を掴んだ。
翔太は小さくそう言った。
涙をぽろぽろ落としながら、
縋るように、小さく。
こんな翔太、見たことない。
いつもツンツンしてて、
自分の気持ちなんて素直に言わなくて、
なにやっても謝んなくて、
いつも、子どもみたいな顔して笑ってるから。
私がいなくなると思ったの?
私が翔太から離れると思ったの?
私はいつから、この人をこんなに弱くしたの?
縋りついて来る翔太を優しく抱きしめて、
そっと頭を撫でてやった。
子どもみたいにふわふわした髪の毛は、
ほんの少しだけ湿っていた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。