第7話

第7話 御曹司の包容力
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2019/11/30 04:09 更新
バクバクとうるさい心臓。

胃がでるんじゃないの?ってくらいに締め付けられた着物の帯。

隣でルンルンなお母さんと、その奥で穏やかな笑顔を浮かべるお父さん。


そう。
今日は、ついにお見合い当日。

お見合いをするなんて私は一言も言っていないのに、お父さんが勝手に話を進めてしまったのだ。
お父さん
お父さん
娘の秋華です
西園寺秋華
西園寺秋華
改めまして、秋華と申します
先日はありがとうございました
お父さんの挨拶に合わせて座ったまま深く頭を下げれば、目の前に座って私を見つめていた如月さんがふわりと優しく笑う気配がした。
如月玲
如月玲
いえ!とんでもない
お護りできて良かったです
如月玲
如月玲
改めまして、如月 玲です
このご縁に感謝いたします
先日と変わらない、物腰の柔らかそうな方。

どこまでも優しくて、何もかも包んでくれそうな、穏やかで素敵な人なんだろうなってことが彼を見ていると伝わってくる。
お父さん
お父さん
なんだ、2人は知り合いだったのか?
西園寺秋華
西園寺秋華
創立記念パーティのときに
転びそうなところを助けて頂いたの
如月玲
如月玲
たまたま、タイミング良く
居合わせただけですよ
お父さん
お父さん
なんだ、そうだったのか!
これも何かの縁だね
お父さん
お父さん
2人でゆっくり庭でも歩きながら
話してきたらどうだ?
西園寺秋華
西園寺秋華
えっ、2人で!?
如月玲
如月玲
秋華さんさえ良ければぜひ
僕はもっと秋華さんを知りたいです
西園寺秋華
西園寺秋華
……じゃあ、少し歩きましょう
如月さんが悪い人じゃないことはよくわかったけれど、2人きりで何を話したらいいんだろう。

それに、私はやっぱり蒼真以外はありえない!って思ってしまう。

だけど、今さら他に好きな人がいるから……なんて理由でお見合いを断る勇気はない。どうにかして如月さんからこの縁談を破談にしてもらわなくちゃ……!

〜ホテルの庭〜
如月玲
如月玲
秋華さんはどんな男となら
結婚したいと思いますか?
西園寺秋華
西園寺秋華
……えぇ、難しい質問ですね
好きな人とだったら無条件に結婚したい
と思うのではないでしょうか
如月玲
如月玲
なるほど
じゃあ、秋華さんの
好きな人にならなくちゃ
如月玲
如月玲
恥ずかしい話、一目惚れなんです
お見合いの話を聞いた時は
運命だって舞い上がりました
あれから、庭をゆっくりと歩きながら如月さんからの質問攻めにあっていた私は

ここに来て突然の告白に、やっと落ち着き始めた心臓が再び暴れだしたのを感じた。

破談にしてもらわなくちゃいけないのに……!気に入られたらダメだ!どうにかしなきゃ。
西園寺秋華
西園寺秋華
あの……その
ありがとうございます
西園寺秋華
西園寺秋華
でも私、まだ16歳だし!
世間知らずで、料理下手で
お裁縫も出来ないし、掃除も苦手だし
ドレスアップだって1人じゃ出来ないし
西園寺秋華
西園寺秋華
如月さんみたいに素敵な人と
釣り合うような人間じゃ……
如月玲
如月玲
16歳は結婚できる年齢です!
それに今は世間知らずでも
この先、僕と一緒に歩む中で2人で
色んなことを知るのもいいでしょう?
如月玲
如月玲
料理は得意なので任せて下さい
裁縫はやったことがないので勉強します
如月玲
如月玲
それから掃除は……
西園寺秋華
西園寺秋華
あ、あの!如月さん……?
如月玲
如月玲
あ、すみません!
1人で勝手に暴走してしまって……!
如月玲
如月玲
ただ、どんな秋華さんも
僕は全力で受け止めます!って
ことを伝えたかったんです
如月玲
如月玲
自分で言うのもなんですが、
包容力だけは誰にも負けません
それが僕の武器です!
如月玲
如月玲
少しでも秋華さんに
好きになってもらえるように
僕、頑張ります!
ニッと笑って、私を真っ直ぐに見つめる如月さんに、ぎこちない笑顔しか返せない自分が嫌になる。

こんなにも素敵な人が目の前にいるのに……


どうして私の中から、蒼真は消えてくれないんだろう。

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