今、私は探偵社にいる。
原因はあの太宰だ。
○月×日
探偵社は煙で霞み、不幸が訪れるであろう。
これは、明日探偵社で放火事件が起きるねえ。
煙とはそーゆーこと。
うーん…本当に犯人は来るのだろうか…。
いまいち太宰の云うことを信用できない。
なんて、ため息をついていると、
ガタッ
と物音がした。
物音の正体は時速1kmでゆっくりと、慎重に向かってくる。
無人の探偵社にコツン、コツン、という足音だけが反響した。
あなたの下の名前は持ち前のすばしっこさで足音の鳴る場所へ、音を立てずに向かった。
男は目を見開いた。
その場からしばらく動けない。
目の前の番犬の瞳に吸い込まれてしまった。
我に帰り、逃げようとした。
しかしもう遅い。
顎を蹴られたかと思うと、
番犬は男の上に乗り、こう告げた。
あなたの下の名前は男の目を手で軽く覆い、こう語った。
男の目を覆っていた手をどけ、云った。
そして沈黙の6秒間。
目が離せない、なんて美しい瞳だ!!
そう男はそう云っただろう。
_____生きていれば、の話だが。
異能詳細
「 沈黙の六秒間 」
相手と六秒間、目を合わせると相手の存在ごと消してしまう、強力な能力。
不本意でも発動してしまうため、とても厄介である。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!