※このエピソードには、架空の地域における地震災害描写が含まれます。
現実の災害により被害を受けたすべての方々に、心よりお見舞い申し上げます。
本作は、あくまでフィクションの物語でありながら、災害を通して“自分にできること”を考えるきっかけとなることを願い、制作しています。
なお、現実に災害が起きたこのタイミングで公開することについて、制作側としても強い葛藤がありました。
それでも、いつか誰かの防災意識の一助になることを信じて、掲載を決断しました。
不安を感じられる方は、どうか無理せず、このエピソードの閲覧をお控えください。
「ねぇちょっと~、誰かいる〜? 玄関、開けてくれると助かるんだけど〜?」
穏やかな午後のシェアハウスに、ひょいっとした明るい声が響いた。
ちょうどリビングから廊下を覗いていた奏が、小さく首を傾げる。
「……橘さん?」
急ぎ足で玄関へ向かい、ドアを開ける。
「やっほ~! 奏ちゃん、お邪魔するわねぇ」
「橘さん、そんなに慌ててどうしたの?」
「ちょっと! 全員リビング集合! めっっっちゃくちゃ大事なお知らせがあるの〜!」
リビングにいた数名が、驚いたように顔を上げた。
「橘さん、どうしたんですか?」
「お知らせって……なになに?」
次々と集まってくるメンバーたち。
橘はふぅと息を整えると、胸元から一枚の用紙を取り出して、リビング中央に掲げた。
「『Vireliahs+』──冠番組、決定しましたァァァァ!!」
「……っ!」
「か、かんむりばんぐみ……!?」
その場にいた全員が、一瞬固まったように沈黙し、それから──
「マジで!?」
「やったじゃん……!」
「ついに……!」
歓声と拍手が同時に起こる。
七瀬も、思わず口元を押さえてから微笑んだ。
「本当に……すごい。みんな、おめでとう」
橘は鼻をすんっと鳴らすと、腰に手を当ててにっこり。
「ほらね? やるって言ったらやるんだから。あんたたちの努力、ちゃんと伝わってるのよ。……この前の深夜ドラマ、バズってたでしょ? 反響もよかったし、番組サイドも動いたのよ」
「ってことは……あれがきっかけ?」
「正解。今度はあんたたちメインの冠番組。“Vireliahs+”って名前で、いろんなことにチャレンジしてもらう予定よ。トーク、バラエティ、音楽、地域ロケ──なんでもアリ!」
メンバーたちは顔を見合わせ、湧き上がるように笑顔を浮かべた。
「すご……これ、夢じゃない……?」
「やば、まじテンション上がる……!」
「……これって、うちの名前が付いてるってことですよね?」
「Vireliahs+って、やばすぎ……!」
興奮冷めやらぬ中、誰かが冷蔵庫から缶ジュースを持ってきて、自然と乾杯が始まる。
「絶対いい番組にしような!」
「うん、俺たちならできる!」
七瀬も、心の奥で小さく拳を握った。
──これが、彼らの未来をさらに広げる扉になるかもしれない。
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そのとき。
ふと、テレビから「ピピピッ」という警告音が響いた。
『……ただいまの地震情報です。××県北部で、震度3の地震を観測しました。……』
橘が持っていた用紙を胸元に戻し、七瀬と同時に画面に目を向ける。
静かに切り替わった速報画面には──聞き慣れた地名が映っていた。
それを見た七瀬の目が、すっと細められる。
「……あそこ……」
声にはならない、けれど明らかに何かを思い出すように、七瀬は画面を見つめていた。
ざわ……と、胸の奥で小さなざわめきが広がる。
浮かび上がる地名。あの土地。
ただの速報。けれど、心のどこかが不安を告げていた。
次の瞬間に続く、ほんの微かな──異変の予兆。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。