教室の前で深呼吸をする
中に入ると、もう何人かが席についていて、教室はざわざわしていた。
黒板の横に貼られた座席表を見ながら、自分の席を探す。
窓側、後ろから二番目。
椅子を引いて座ると、少しだけ落ち着く。
周りの話し声をぼんやり聞きながら、さっきの出来事がふと頭をよぎる。
不意にかけられた声に、びくっと肩が揺れる。
聞き覚えのある声。
ゆっくりと顔を上げると。
目が合った瞬間 、相手も目を細めた
やっぱり。さっきの人だ。
言葉が出ないまま 、固まっていると
少しだけ笑いながら言われて 、顔が熱くなる
... ほんと 、感じ悪い
なのに ...
興味なさそうな返事。
でも。
そう言って、こっちを見る。
その名前が、やけに印象に残る。
軽く笑ったその表情に、言葉を失う。
さっきと同じ人のはずなのに、少しだけ違って見えた
感じ悪いだけの人だと思ってたのに。
なんでこんなふうに、意識してしまうのか分からなかった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!