ゆっくりと顔をあげると , あるものが目に留まる
それは , 赤い目に特徴的な三つ巴の模様 …
うちは一族の血継限界である 「 写輪眼 」 だった
小さい頃に父から少し聞いたことがあったが ,
まさか実物を見ることになるとは …
月の微かな明かりに照らされながらも深淵のように
深い色をした眼に , 私は目が離すことが出来なかった
彼は上から見下した状態で目を少し細めながら
それに対して何も言えずまだ固まっている
私を数秒見てから , 短くせせら笑う
そう少し嘲笑うような表情で私の腕を引っ張り ,
体ごと顔を寄せられる
それに私は離れようとしたが ,
相手の力の方が強く , 掴まれた腕はびくともしなかった
さらに間近で見る写輪眼は ,
その眼に吸い込まれる錯覚に陥るほどだった
その圧倒的な力に , 私は恐怖と同時に ,
不思議な魅力を感じていた
だが , 先程より強く腕を捕まれ , 眼からその痛みに注意が向く
そして痛みに顔を歪める私を見た彼は ,
目を少し細めながら顔を離す
彼の畏怖させる力と強圧的な声を聞いて ,
私は勝てないと理解した
何をしても私はこの人からは逃げれないと , そう悟った
どの道死ぬのは確定している
それならいっそ , このまま自害してしまおうか
ここから早く父と母の元へ …
私はできるだけ勘づかれないように
固定されていない片腕を自身の首に近付ける
だが , その動きを不審に思ったうちは一族の者に
手首を捕まれ止められる
そのまま小手を取られてしまい ,
非常時用の手の甲に隠していた短刀が露わになる
私はできるだけ自然にしたつもりだったが ,
あっさりとバレてしまい , 思わずそう呟いた
彼は目を細め , あなた の行動にわずかな驚きと
興味を持ったようだった
私の両腕を固定したまま , ふっと鼻で笑いそう言い放つ
自害することも何も出来ない自分に絶望した私はただ俯くだけ
顔を背けたまま何も発しない私に ,
呆れたようにため息を吐いた彼は腕を掴む力を強める
段々と強まる力に伴って顔を歪ませる私を見て ,
少し愉しんでいるように眉を上げながら目を細めて見下している
誘導する声 , 腕の軋む音 , 自分の呻き声 ,
全て夜の闇の中へと消えていく
誰も助けてなんてくれはしない
お母さん , お父さん , ごめんなさい
約束を守れなくて , 自分の利のために動く , 駄目な子で
痛みで震える声を振り絞る
一瞬手首を掴む力が弱まったが ,
痛みと精神的な苦しさでそんなこと気にする余裕もなかった
そう発した彼の声は ,
先程までのような冷たく威圧感のある声ではなく
何処と無く , 悲憤がこもっているような声だった
本当の理由を話した私は , もうどうでも良かった
自分も , 里も , 一族も
今まで溜め込んでいた感情を吐き出すかのように
悲しみ , 悔しさ , 怒り … 様々な感情が混ざり
ぐちゃぐちゃになった感情は名前さえも付けれないが
私の目からは涙が溢れていた
いま死ねば辛い過去を背負わなくていいと思うと
少し嬉しさも感じれる
そんな風に話す私を , 彼は私のぐちゃぐちゃになった
感情の様に複雑な表情をして ,
私に何も言わずただ見つめていた
私にはそれが少しおかしく感じて眉を下げて笑う
私はこう笑っているのに ,
どうしてあなたはそんなに悔しそうな顔をするの












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。