アタナシアside
助けてくれない
あの男は私を助けてくれないだろう
私が湖のそこへ沈むのを
今みたいに
じっとして────
…ってそれにしたって
この…
サイテー野郎!!
バシャンッ ドカッ
バシャッ
?!
ビシャッ
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あなたside
水の中から必死に手を伸ばしている。
服に水が染み込んで重い
ガリッ 船を引っかく
スッ 突然お父様が手を出してきた
パシッ ツルッ
手を掴もうとしたけど
手が濡れていてうまく掴めなかった
ガシッ
お父様が私の手を掴み
引き上げてくれる
ビシャッ
ゴボゴホッ ゴホッ
寒い、歯がガチガチとなる
アーティが泣いている
ハンナが私を抱えて歩く
服が重い。早く脱ぎたい。
早く…早くお風呂に、入りた…い
ハンナが撫でてくれてる────
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クロードside
アタナシアが湖に落ちたとき
妹のあなたが俺に対して
言ったことがあった
二人の娘の絶望する顔が見えた
あなたはアタナシアの手を掴み助けると逆に落ちた
スッ 手を出せば一瞬戸惑う
早く掴め。
その花に引っ張られて溺れるぞ
パシッ ツルッ
掴もうとしたらしいが
手が濡れていて掴めないらしい
ガシッ バシャッ
口から水を吐き出す。
あなたの足にはあの花のつるがまだくっついている
ヌルッ つるを魔力で消すと
あなたは楽なったらしく
アタナシアを心配していた
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次回 アタナシアside
13話fin
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。