ただでさえ近かった距離が
心臓の鼓動が聞こえる程になった
潮江先輩の早い鼓動が頭に響く
そう言われ、肩に顔を埋められる
まさか薬の効果が…
そう思って話しかけてみるが返事はなく、
代わりに、肩に激痛が走った
潮江先輩が私の肩を噛んでいた
薬のせいだ、と直感的にわかったが
対処法がわからない
そう考えているうちにギリギリと音が聞こえる
言葉では表せないような激痛が続いている
痛みに耐えながら声を掛けてみるが返事がない
ドンドンと潮江先輩の背中を叩く
精一杯耳元で叫ぶと
ハッと気づいたように潮江先輩が私から離れる
潮江先輩が少し顔を赤くしながら
焦ったように謝罪をする
まだ肩がジンジンと痛むが笑って答える
チラリ、と私の肩に目線が動く
薬の作用なのでしょうがないです、とは言わず…
とにかく早くこの場から離れたい
そう思って少し、体を起こす
私の気持ちを察したのか、潮江先輩がそう言った
床下なのでマシなのだが、医務室は毒が漂っている
ありがとうございます、とお礼を伝えて
急いで医務室前の廊下に出た
そして、忘れていた
医務室の前にこの人がいたことを
安心感でいっぱいだった私の心は
一気にどん底に落とされた











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!