…これは9月頃の出来事。
私はぽかんと口を開けたまま、
秒針がカチ、カチと音を立てるのを見つめていた。
……
もう、終わってしまった。
呆気なかった、8/8。
…次の大会、進みたかったなぁ
私の力の抜け具合を見てなのか、たまたま
居合わせたのめがそう言う。
私の落ち込みまくった様子を目の当たりにした
のめは何も言えなさそうだった。
此奴も落ち込んでるだろうに、
私に何言おうとしてんだか。
中庭のベンチ。隣に座ってきたよ、此奴。
普段なら何かしら文句垂らしてたけど、
今日は、今だけは、する気力も起きなかった。
この沈黙は何も言えない沈黙なのか、
はたまた音楽室から漏れ出る、息を吸う音に対してか。
辺り一辺がびりびりとした衝撃音に包まれた。
腹から出てきましたと言わんばかりの強い声。
その声を頼りに、私達は音楽室へ駆け出した。
3年生用に用意されたような、50人分くらいの椅子。
すると先生が駆け足で私の方へ向かってきた。
あまりにも勢いがあるから驚いた。なにがあるの…?
―――――数分後
全員が揃ってまもなく、先生が前に出た。
全員が息を呑んだ。
管楽…コンテスト?
コンクールの次におっきい、あの大会?
先生のいつもの淡々とした口調の裏には、
とてつもなく大きい気持ちがあったんだと思う。
隣でそれを聞いていた海、テス、なんならあなたの下の名前までもが
その事実に感動、あるいは驚きを隠せずにいた。
私の声に重なり、歓喜の声が溢れてくる。
――――1ヶ月後
昨日も、みんな笑ってた。
ずーっと、笑ってるの、あの先輩たち。
…でもね、コンクールの時の笑顔とは違う。
本当の楽しそうな笑みに見えた。
だから、私のお節介に必要性はない。
ただ、あの4人の幸せを間近で見ていたいだけだから。


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。