第3話

🏹
121
2024/02/24 13:27
今日も、いつものように帰りに病院に寄る。

正直、この時間はいつも苦しい。

起きてるかも。また、抱きしめてくれるかも。そんな嬉しい想像もできる。
 
でも…

心拍数が0になってるかも。
冷たくなってるかも。
今までの記憶を、全部失ってるかも。


そんな苦しい想像が頭をよぎる。




ガラガラ
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
はぁ…
よかった、いつもどおり寝てる
(なまえ)
あなた
きたよーじぇい
じぇい
じぇい
返答はかえってくるずない。  

とんとんってたたいたら、起きてくれそうなのに。
でも、起きてくれない。
2年も起きてくれてない。
それが、現実
(なまえ)
あなた
ねー
(なまえ)
あなた
もし目覚めてさ
(なまえ)
あなた
全部忘れちゃってるとかないかな
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
今まで過ごした思い出も、悲しい記憶も、全部
(なまえ)
あなた
忘れちゃったら嫌だな
王子様みたいな顔で寝てる、彼氏に言う。
(なまえ)
あなた
もー眠りの王子なんてさっさとやめて、起きなよ
(なまえ)
あなた
動いてるじぇいのほうが好きだよ
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
またいっぱい遊ぼうよ
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
温泉行きたいって言ってたでしょ、私も最近行きたいんだ
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
疲れとりたくて
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
早く起きて、温泉旅館行こうよ
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
いいとこ見つけたの
じぇい
じぇい
(なまえ)
あなた
ねえ…じぇい…
じぇい
じぇい
今日はだめみたいだ。もう、これ以上話しかけたらないてしまいそうで。
(なまえ)
あなた
…ごめん、もう帰るね。おやすみ。ゆっくり休んでね。

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