夜の静まり返った高専。五条に呼び出された蓮は、人気のない渡り廊下でその言葉を聞いた
俺は宿儺の子孫だということを
蓮の声は、夜の冷気に溶けるほど静かだった。だが、握りしめた拳からは血が溢れ、床に赤い点描を描いている。
雲間から覗いた月光が、五条の白銀の髪を神々しいほどに照らし出している。その輝きは、蓮の足元に広がる闇をよりいっそう濃く浮き彫りにした。
乾いた笑いが、夜の冷気に吸い込まれていく。
視界が滲む。怒っているのか、悲しいのか、それともただ呆れているのか。自分でも分からない感情が混ざり合い、言葉だけが熱を持ってこぼれ落ちた
俺の言葉に悟は返事をしない。ただ、静かに蓮との距離を詰める。
その無機質な六眼に映る蓮の拳は、固く握りしめられ、血が滴っている。悟は蓮の手首を優しく、だが拒絶を許さない力で掴む。
悟ががゆっくりと蓮の指を一本ずつ解いていく間、二人の間に流れるのは、互いの体温と、血の鉄の臭いだけ。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。