第42話

嘘じゃない
57
2024/06/18 07:52
莉瑚先輩が私の居場所を知っているということを知ってから3日目。


今日はお花が沢山咲いている場所で少し休憩をしていた。
休憩と言っても、莉瑚先輩のことが頭から離れなくて、休憩できてるのかと言われたら 自信を持って頷けないけど...



そんな時誰かの独り言が聞こえた。
いや、これは独り言じゃない...、話し声だ。

でも相手の声が聞こえない、、、なんでだろうと思い話し声が聞こえる方向へ向かう。

なおきり
なおきり
そうなんです...。あの二人みたいにいい言葉をかけてあげれるかなんて自信もありませんし...。好きなのに…
えみ
えみ
ん?なお兄?
なおきり
なおきり
えっ?!なんでここに??
驚いた顔をしてこちらを振り向くなお兄。
話していた相手は誰なんだろうと思い キョロキョロと周りを見渡すが、 人はいない。

うん、 人"は"...いない。

代わりに 蜂が、、、いる。

いやでも蜂と話してたんだなー とわかる構図。
蜂が飛んでる方向に向かって、わざわざ目線まで合わせてあげて、蜂と見つめあっていた。


えみ
えみ
さっき、あそこのベンチいたんだけど、誰かの話し声するなーって思って来たら...居た。
なおきり
なおきり
あ、え!聞こえてたん...です、か?///
えみ
えみ
後半は草の音で聞こえなかったけど、前半はもろ全部。
なおきり
なおきり
、、、年上なのに、なんて言葉をかければいいのかさえも分からないなんて…
えみ
えみ
ん?私はその気持ちだけで十分だと思うよ?
えみ
えみ
うりりんとか、ヒロくんとか、いかにも女慣れしてそうなふたりみたいになぐさめるなんて高難易度すぎない?クスッ笑
なおきり
なおきり
女慣れ...
えみ
えみ
ちょっと失礼だったねフフッ笑
えみ
えみ
なお兄は優しいよ。だから、心配してくれる。
えみ
えみ
さっき蜂と話してたのってわたしのことでしょ?
なおきり
なおきり
気づきますよね...
えみ
えみ
でも、その気持ちがわかっただけでえみは嬉しい。
なおきり
なおきり
えみさん...
えみ
えみ
ふふっ笑
えみ
えみ
だって、私ここにくるまで味方なんて一人もいなかったんだよ?
えみ
えみ
ヤンキーやったり、いじめっ子したり、時にはいじめられっ子、可哀想な子...
えみ
えみ
でも、そんな私をここまで受け入れてくれて、心配してくれて、、、わたしはすっごい嬉しいの。
えみ
えみ
だから、その気持ちだけで嬉しいの。
なお兄が不安そうに、でも少し嬉しそうにこちらを見ている。
それでも、私はなお兄の方向を向かず、真っ直ぐ先だけを見つめて話した。

























えみ
えみ
だって、そうやって心配してくれる人がいるって、すっごいことだから。






























えみ
えみ
味方がいるんだって思うとすっっごい安心するから。































だから、


























だから、



























えみ
えみ
なお兄、ありがと。






















なおきり
なおきり
…ッ、なにがあっても僕たちは絶対に えみさんの味方です。
なおきり
なおきり
絶対にないと思うけど、もしみんながえみさんのことを裏切るようなことをしても…

































なおきり
なおきり
僕だけは、絶対に えみ の味方です。

























えみ
えみ
っ...なお兄。
そのとき、ふいになお兄の方向を向いた。

こちらをむいたなお兄の目は、嘘じゃない…絶対に約束する…という感情が込められていた。



すこしほっとした。
なお兄の目には、言葉には 嘘 なんて言葉は一欠片もなかったから。
だから信じる。



えみ
えみ
ありがとうっ!!!
ぎゅって飛びつくと慌てたようにして、それでも抱きとめてくれた。


あぁ、どんなに恵まれているんだろうか。






















上手く、言いたいことも何もかも、伝えられないし、言い表せれないけど...



私の重りが、また少し減ったのだけは伝わってほしいな。





















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