当時俺は15歳だった。
実験が好きでたまらなかった俺は小学校の時、先生に隠れて実験し爆発させて怒鳴られたのを覚えている。
11歳の時に家を飛び出した。
それから3年、実験がしたくてついに
「人」という動物で実験を行った。
それはあまりにも興味深く、俺は何人も何人も実験体にしてきた。
力も体力もなかった俺は、小型ナイフで人を脅し、抵抗された場合はすぐさま殺す。
それが俺の日課となっていった。
今日も人を実験体にする。
酔った人は実験にならない。
だから…
俺と同じくらいの奴が最高に良い。
最初は狙ったやつを尾行する。
そして1人になったところを襲いかかる。
ザッ…
小型ナイフを首元に当てる。
俺よりも頭の半分くらい背が高い奴だから当てやすかった。(※ワイテルズ-大型アップデート-を参考にしています)
これは睡眠薬だ。
そいつは黙って薬を受け取った。
無意識に言葉がポロリと出た。
こいつを失うのは惜しい。
だが
飲めない=殺すしかない
そういうことだろう。
そいつにナイフを振りかざそうとする瞬間
手首らへんに猛烈な激痛が走った。
あの一瞬で手首の骨を折られたんだ。
俺は手首を抑えながら足の力が抜けて座り込んだ。
痛い
痛い
からと言ってこいつを逃すわけにはいかない。
俺は左手でこいつの足首を刺した。
こいつ…!
そして俺はそいつの首を狙い刺した。
いや
刺そうとした。
そいつの目が
赤く
光ったんだ。
俺は尋常じゃない程の殺気に恐れた。
逃げたい。
…死にたくねぇ。
いや
死にたくないなら
何もかも殺してしまえば
いいんじゃないか…?
敵であれ
味方であれ
身内さえ
感情さえ……
そうだ…
こんなに世の中が平和なわけない
平和主義など
偽物だ。
『悪』こそが本物ではないのか?
そうだ。
これこそが
本当の世の中なのじゃないのか…。
俺は出したことの無い低音で言った。
でもこいつはビクともしない。
…メンタル強すぎないか?
まだ呑気に喋ってやがる。
早く殺してぇ
けど…
手首が痛くて動けねぇ。
もうちょっとだ。
時間稼ぎ…をしなければ。
俺は狂ったような顔で笑った。
男が後ろを向いた瞬間その男に飛び乗った。
刺そうとする手を男は押さえて抵抗する。
力が増した。
気づくとナイフは急所に刺さっていた。
顔も服も血だらけ。
何回も何回も刺したのだろう。
すると遠くの方からサイレンが聞こえてきた。
…警察?
俺はその場を立ち去った。
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ー現在ー
また夢を見たのか…
今日は随分と長く感じたな…。
でもこれは確実にガキの頃の俺だ。
確かあの男の髪の毛は…
金髪でメガネをかけていた気がする。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。