今日はるなと喧嘩した次の日
友達とあんなに喧嘩したの初めてかも…
できることなら、るなと喧嘩なんて絶対にしたくなかった。
でもるながあーゆーこと言うから……
うん、これで大丈夫。
ピロンっ♪
あ、電話か…
…るなからだったらどうしよう
私に電話を送ってきたのはるなの彼氏、うりさんだった。
な、なんで……?
い、一回出てみるか……
今まで一緒にいて、そんなこと思ったことなかったけど…
べ、別に謝るように言わなくてもいいんだけど…
プッ……
……びっくりしたぁ…
まさかうりさんから電話がかかってくるとは…
なんも準備してなかった……(汗
学校が終わり、電車でゆあんくんの家まで来た。
ゆあんくんから合鍵をもらったのでそれで
鍵を開ける。
ガチャッ
やっぱ、ゆあんくんはいないか…
できたらるなのこと少し相談したかったんだけど…
急いで部屋に入って、ドアを閉める。
だって、ゆあんくんはトップアイドルで、
私は研修生だし…こんな事言われても、困るよね…
スマホを開いて、マネージャーさんから
送られてきた、ゆあんくんのスケジュールを開く。
移動は5時だね。
ってか!もう4時半くらいだし、
早めにゆあんくんに伝えないとっ!
急いでドアを開けて、ゆあんくんの部屋
をノックする。
しーーん……
すると、
後ろからゆあんくんの声がッッ
午後6時半。
約30分前に生放送の現場に着き、
ゆあんくん達はリハーサルに行っている。
ちゃんと歌ったり踊ったりするわけではなく、
流れだけ練習するらしいから、そろそろ
帰ってくると思うんだけど……
実は、るなもこの番組に今日生放送で
出るらしくて……
会っちゃったら…どうしようかな……
だって、私はアイドル研修生で、
るなはトップアイドルだし。
いくら生放送の番組だからって、会わないよね。
……
そっそうだ、ゆあんくん
リハーサルで疲れてるかもしれないし、
なにか飲み物を買ってこよ!
気を紛らわすように早足で楽屋を出る。
自動販売機は以外に遠くにあって、探すのに少し時間がかかってしまった。
何がいいかなぁ…
ゆあんくん、コーラが好きって言ってたけど…
甘いもの禁止されてるんだよね……
…でも…
勢いで自動販売機のボタンを押す。
近くにあった時計を見る。
あ、そろそろリハーサル終わったかな。
急いで帰ろう。
そしてまた、来たときと同じように、早足で歩く。
そして、少し歩いた先に__
他のアイドルの子と仲良く喋って歩いている、
るなの姿があった。
ど、どうしようっ
ちょうど行きたいのは、るな達がいる先だし……
るな達が歩いてきたら、どっちにしろすれ違うことになる。
あえて、私から話かけてみようかな……
さすがに、他のアイドルの子もいるし、
長く話したりすることはできないと思うけど…
こんにちは、とかの挨拶くらいなら、返してくれるかもしれない。
もしかしたら…
『えとちゃん、アイドルになるために、付き人のお仕事頑張ってるんだね~!えらいよぉ~!』
とか、言ってくれるかもしれない。
るながアイドルになって、会える機会が減っても、私達はずっと仲良しだった。
だからきっと…
一言交わせば、前みたいに仲良くなれる気がする。
私からっ、話しかけてみようっ…
そう思って、るな達がいる方へ、私も歩いていく。
そして、すれ違う直前、るなに挨拶をする。
えっ……
びっくりして、その場に固まってしまう。
目はあったはずなのに、るなら
無視して歩いて行ってしまった。
私がるなのことを追いかけようとしたとき、
るなと一緒にいたアイドルの子が
私のことを見て言う。
『るなに嫌われたらこの世界じゃ生きていけない』
るなは、それくらいすごいアイドルってことだ。
アイドルにすらなれていない私とは全然違う…
私にアイドルは向いてない…
それくらいわかってるけどっ…
るながそう言ったとき、目が合った。
けれどその目は、早くどっかに行ってほしい、
と言っているような目だった。
その時、後ろから足音が聞こえてきた。
ゆあんくんはにっこりと笑う。
コロッと態度を変えて、
アイドルスマイルで言う。
るな達と別れて、ゆあんくんの楽屋に着く。
リハーサルが終わって、楽屋に帰ってきて。
私が居なかったから探しに来てくれたんだよね…
ゆあんくん、リハーサルが終わって本番まで、
少ししか休憩時間がないのに…
だからその間だけでも休憩してほしかったのに……
ゆあんくんの言葉が優しくて、
涙が出てきそうになる。
でも…
『もぉ…えとちゃんはすぐそうやって泣いちゃう。』
『アイドルはお仕事だし、つらくても悔しくても、悲しくても、泣かないで、頑張らないと』
『泣く暇があったら努力しろって、言われるんだよ』
そう言うと、ゆあんくんは私の頭を
よしよしとしてくれる。
数分経って、やっと私は落ち着くことができた。
私が泣いている間ゆあんくんはずっと、
私の頭を撫でてくれた。
そう言ってにっこり笑う。
あ…!
コーラ!ずっと持ったままだった、!!
そう言って、ゆあんくんはおいしそうに
コーラを飲む。
コンコンコンッ
番組が始まり、ゆあんくんたちの出番になった。
音楽が始まるのと同時にみんなが踊り出す。
私もあんなふうになりたいなぁ…
わぁーバカップルだぁあ
と、半分呆れてしまう。
そしてゆあんくんのグループの
パフォーマンスが終わり、
るな達がステージに入ってくる。
ポップな音楽が流れて、みんなが踊り出す。
踊っている、るなは元気でいつも通りの笑顔だった
るなが元気に笑って歌って、
踊っているのを見たら…
さっき無視されてしまったことも、
話すこともできないことも、
悲しいけど、るなが笑っているおかげで私も元気になってくる。
私は改めてそう思った。
いつか、私もゆあんくんや、
るなみたいになりたい。
るなと喧嘩したからって、
うじうじせずに、頑張ろうっ!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!