第5話

004. 入試
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2026/02/08 10:25 更新
 あっという間に時は過ぎ、雄英高校の一般入試の日がやって来た。
 私は樹と人使の3人で、入試会場である雄英へと歩みを進めている所だ。
源樹
……急に緊張してきちゃった……っ!!!
 だが、試験本番どころか試験会場にも着いていない今、樹が緊張に襲われ立ち止まってしまう。
あなた
何でですか!?
心操人使
どこにその要素が……
 私と人使は驚きと呆れを隠せないまま、樹の隣に止まる。
源樹
筆記、大丈夫だよね?
あなた
まだ会場に着いてませんって……
 その口ぶりからすると、実技は大丈夫な様子。
 しかし、筆記にイマイチ自信がないようで、始まってすらいないのに不要な心配をしている。
 正直、私と人使の2人がかりで勉強を教えたというのだから大丈夫な気が……。
心操人使
ほら、遅れたら元も子もないぞ
あなた
そうですよ、人使の言う通りです
源樹
うう……
 不味いと思った人使が、樹の背中をポンポンと叩いて元気づけると、若干呻きながらも立ち上がる。
あなた
さて、行きましょうか
入試に間に合わなくなりますよ!
源樹
それはヤダ!!!
心操人使
嫌なら立ち止まるなよ……
 
 この後、仲良く3人で歩道を走り、無事雄英に到着した。
 着いた後に時計を見ると結構ギリギリだったので危うかった。
 筆記試験を終えて、私達は今、実技試験の説明会場に居る。
 何処かのドームかと思う程広いこの会場内には、「ヒーローになりたい」という志を高く持った受験生達が数多く集まっているのだ。
 無論、私達3人も同じ。
 
 先程まで暗かった会場の電気が付き、会場の大きなモニターに“UA”の文字が投影される。
 モニター前の壇場には大きな演壇があり、そこには1人のプロヒーロー——プレゼントマイクが立っていた。
プレゼントマイク
受験生のリスナー!
プレゼントマイク
今日は俺のライヴにようこそ!!
プレゼントマイク
Everybody stay hey!!!
 無駄に大きな声を出すプレゼント・マイクとは対照的に、シーンと静まりかえる会場内。
あなた
(うるさいなあ)
 私はその声の大きさに思わず顔を顰めた。
プレゼントマイク
こいつはシヴィー!
プレゼントマイク
なら、受験生のリスナーに実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜェ!!!
プレゼントマイク
Are you ready?
プレゼントマイク
Yeah!!
 熱の冷め切らないプレゼントマイクの大きな声によって、またしても会場はシーンと静まった。
あなた
(空気読めないのかな)
 大声にまたしても顔を顰め、心の中でプレゼントマイクに向けた辛辣な言葉を思い浮かべた。
 
プレゼントマイク
入試要項通り!
リスナーはこの後!
10分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ!!
プレゼントマイク
持ち込みは自由!
プレゼントマイク
プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!
プレゼントマイク
O.K.!?
 …………。
 質問に対し一切リアクションのない受験生達。
 無慈悲である。
あなた
(私もだけど)
 どうでもいい思考はさっさと捨て去り、手元の受験票を見る。
あなた
あ、試験会場Cだ
心操人使
俺もC
源樹
え、私A
あなた
同校同士で協力させない為でしょうか?
源樹
そんなぁぁぁぁぁ……
 樹が呻き声とも取れる言葉を発しながら、机に突っ伏した。
 くしゃり、という乾いた音と共に。
あなた
(絶対プリントぐしゃぐしゃ……)
 
プレゼントマイク
演習場には、仮装敵を3種多数配置してあり、それぞれの攻略難易度に応じてポイントを設けてある!
プレゼントマイク
各々なりの“個性”で仮装敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!!
プレゼントマイク
勿論!
他人への攻撃など、アンチヒーローな行為は御法度だぜぇ?
 
.
質問よろしいでしょうか!
プレゼントマイク
OK!
 1人の受験生の問いかけにプレゼントマイクが了承の返事をすると、その受験生がパッとライトアップされた。
.
プリントには4種の敵が記載されています!
.
誤載であれば、日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!
.
我々受験生は、規範となるヒーローのご指導を求め、この場に座しているのです!
 一見、真面目そうな面持ちの男だったが、見た目通りの真面目っぷりである。
あなた
(思考回路すご……)
 私が心の中で感嘆の声を漏らしていると、真面目っぽい生徒が後ろを振り向いて誰かを指差した。
.
ついでにそこの縮毛の君!
.
え?
.
先程からボソボソと、気が散る!!
.
物見遊山のつもりなら、
即刻! ここから去りたまえ!
.
すみません……
 縮毛の人が縮こまりながら口を隠すと同時に、会場内から微かな笑い声が聞こえる。
あなた
……
プレゼントマイク
OKOK!
プレゼントマイク
受験番号7111番、ナイスなお便りサンキューな!
プレゼントマイク
4種目の敵は0P、そいつは言わばお邪魔虫!
各会場に一体、所狭しと大暴れしているギミックよォ
プレゼントマイク
倒せない事はないが、倒しても意味はない!
プレゼントマイク
リスナーには上手く避けることをお勧めするぜぇ!
あなた
(そんな物まであるんだ…)
.
ありがとうございます!
失礼致しました!
 質問者が丁寧にお辞儀をした後、席に着くと、当たっていたスポットライトがスッと消えた。
.
なるほど、避けて通るステージギミックか
.
ゲームみたいだなこりゃ……
 
プレゼントマイク
俺からは以上だ!
プレゼントマイク
最後にリスナーへ、わが校校訓をプレゼントしよう
あなた
……校訓?
プレゼントマイク
かの英雄、ナポレオン・ボナパルトは言った
プレゼントマイク
“真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えて行く者”と!
 
プレゼントマイク
更に向こうへ——“Puls Ultraプルスウルトラ”!
プレゼントマイク
それでは皆、良い受難を!

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