-あなた-
────っ!?
突然の事に目が覚め、上体を跳ね起こす。
全身が汗ばんで息切れもしている。
落ち着きを取り戻そうと胸に手を当てれば、心臓は体を破らんばかりに強く脈打っていた。
-あなた-
はぁ……、はぁ…っ、
-あなた-
すぅーっ………はぁー……っ、すぅー…………
深く、深く時間を掛けて深呼吸をする。
落ち着きを取り戻して漸く、先程までの光景がいわゆる"悪夢"であったと認識出来る。
-あなた-
どうして、こんな……。
時計に目を向ければ起床時間を過ぎていた。
私は軽く頬を叩き、着替えて台所へと足を運んだ。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
台所に入る手前、奥からは鼻歌が聞こえてきた。
それと同時に トントン と心地良い音も鳴っている。
誰かが既に朝食の準備をしているようだった。
-あなた-
あれ、こーじ君?
-向井-
おう、あなたおはようさん
食事の準備をしているのはこーじ君だった。
私が声を掛けると彼は手を止め笑みを浮かべた。
-あなた-
今日は私が当番でしょ?
もう少しゆっくり休んできなよ
-向井-
ええねんて、たまたま早起きしてやる事ないねんから
俺が好きにやってるだけ!
無邪気に笑みを向ける彼は、再び視線を戻し食材を切り始める。
-あなた-
……じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな?
-向井-
ん、そうしいや
-??-
おっはよーう
声の方を見ると、暖簾からひょっこりと顔を出した大柄な男性……と言うにはまだ幼い顔で笑うラウ君だった。
-あなた-
おはよう、ラウ君
散歩してきたの? 健康的だね 笑
-ラウール-
そうそう、朝日が気持ち良かったからつい長く散歩しちゃったんだよね
ラウ君はそう言って卵焼きに手を伸ばす。
-ラウール-
いてっ、
-あなた-
こら、まだ終わってないんだから盗み食いしないの!
-向井-
ラウールが怒られとる 笑
-あなた-
盗み食いする元気があるならみんな起こしてきて
確か……しょっぴーは今日早いって言ってたから
-ラウール-
おっけーい、じゃあ先しょっぴー起こしてみんなの部屋回るよ
-あなた-
お願いね
ラウ君が台所を出たのを見送ると、こーじ君がクスクスと笑ってているのに気付いた。
-あなた-
何ー? 一人で笑っちゃって
-向井-
いや……笑
あなたはみんなのおかんやな思って…笑
-あなた-
はぁ……全くもう、笑
そんな話をしていると、ドタドタと階段を下る音が聞こえてきた。
-渡辺-
やっべぇ、ラウールが起こしてくんなかったら普通に寝坊してた
-向井-
しょっぴーおはようさん
-渡辺-
はよ
あれ、今日飯康二だっけ
しょっぴーが前髪を気にしながら椅子に腰を下ろす。
化粧水を塗ったばかりの顔を見る限り、かなり急いで準備した事が分かる。
今日は後輩と大切なプレゼンをするそうで、鞄には溢れんばかりの資料が詰められていた。
-向井-
あなたの手伝いしてんねん、たまたま早起きしたでな
-あなた-
おはようしょっぴー
モーニングルーティーンちゃんと出来た?
-渡辺-
いやぁー出来てないんだよね
行きの合間にやるか……
-向井-
そやったら俺車出すで!
-あなた-
でもこーじ君出掛けるんじゃなかった?
-向井-
それは午後からやな
-渡辺-
ごめん康二、頼むわ
-向井-
んー任せとき!
-ラウール-
みんな起こしてきたよー!
-あなた-
はぁーいありがとね、あしょっぴー
朝ごはん移動中に食べたら?
-渡辺-
あー、そうしようかな
-あなた-
じゃあ準備しておいで
-渡辺-
マジ助かる、ありがと
-阿部-
おはよー
-宮舘-
おはよう
-目黒-
おはよう
-佐久間-
おっはー
-深澤-
ん〜はよぉー
ラウ君に続いて次々と椅子に座る。
-あなた-
はぁーい皆おはよう
あれ、照兄は?
-阿部-
照ならランニングしてるんじゃないかな
-あなた-
そうなんだ、じゃあもうそろそろ帰ってくるかな
噂をすれば、照兄が勝手口から帰ってきた。
-向井、あなた-
照兄おかえりー
-岩本-
ただいま
-あなた-
照兄おかえり、もうご飯出来てるよ
-岩本-
ありがとう、今日も美味そう
-あなた-
ふふっ、今日はこーじ君がほとんどやってくれたんだよ
じゃあ食べよっか
皆で手を合わせ朝食を食べ始める。
私達の日常は、こうして始まる。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。