第8話

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2025/09/18 12:58 更新


フォスが決意を固めdollに向かって歩き出している中、すばるは膝をついて何かを祈っている人影を見つけ出した。


セターレだ
すばる
セターレ!
セターレ
すばる?

すばるが名前を呼ぶと、セターレは祈りのために絡めていた両手を外し、すばるに目線を合わせて立ち上がる。
すばる
やっぱりここにいたんだ

セターレはいつもここにいた。


すばるとは違い、セターレは博士に歯向かうような勇気も、フォスを守ることだってろくにできない。


そんなセターレが思い悩む時、彼女は決まってここにいる。


ここはセターレの、唯一の逃げ場のようなものだった。


すばるはセターレを見つけ出したことで本題に入る。
すばる
あの子に……フォスに伝えるんだ
すばる
さえ見なければ、僕たちは幸せになれるんだ、って

あんなもの、とすばるは濁して言った。


しかし、セターレには通じたようで、話はそのまま進行していく
セターレ
……幸せになれたら、それでいいの?
すばる
どうしてそんなこと聞くの

セターレは、すばるを諭すように言葉を発した。


が、すばるは意味もわからずただきょとんとするだけ。
セターレ
だって、それも含めて私だから

セターレは胸に手を当てながら、少し上空を見て話を進める。


空には、フォスが聞いた、あの〈声〉が漂っている。
セターレ
すばるだってそうでしょう?
セターレ
これは私たちの宿命なの。
セターレ
ここに来ると、いつも〈声〉に呼ばれる。博士が創り出した悲痛な〈声〉に。

わずかに顔をしかめながら話すセターレに、すばるは同意したが、そのすぐ後に反論が入った。
すばる
そうだけど……そうだよ!
すばる
この場所は〈声〉の溜まり場だ。でも、だからこそ僕たちがいるんじゃないか!
すばる
次の希望を、光を、博士に飲み込まれないようにするために。
すばる
見たくないものは見なければいいんだ。〈声〉だって同じだよ
すばる
だから早く戻ろう?
すばるは半ば強制的にセターレを引き連れて、フォスが気絶した場所へと移動した。


__が、そこで見た光景は信じられないものだった。


doll動いているのだ。


しかも、小さい動作ではない。歩いている。


辺りを見渡しながら、フォスに向かって歩いていく。


フォスもそれに呼応して、dollに向かって歩いていく。


互いが近くなり、dollが手を伸ばして、残り数cmでフォスの頬に届くところで、フォスはようやく言葉を発した。
フォス
あなたは敵。まやかし!

その言葉を聞いた途端、先程まで動いていたとは思えないほど、ピタッ、とdollの動きが止まった。
フォス
近づかないで

フォスは銃口をドールのひたいに向ける。


そこから数歩下がって、焦点を合わせていく。


その行動が見えたすばるは、大声を出してフォスを呼んだ。
すばる
フォス、だめだ!!
フォス
え、


バンッ!!!

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