第110話

決勝戦
468
2025/05/21 11:33 更新



あっというまに休憩時間は過ぎ、



私達はついに決勝戦の舞台へと進んだ .


(なまえ)
あなた
(よし、皆中狙うぞ……)



「起立」と言われ、椅子から立ち上がる .



「始め」と言われたので、



弓を引くための準備をした .


(なまえ)
あなた
(よし、今の所順調……)



私は一本目の矢を命中させた .



この調子で、ニ、三本目を命中させたところで



周りはもう椅子に座っていることに気づいた .


(なまえ)
あなた
(私だけ、か………)



ふと、小学校時代のことを思い出した .



ハヤトの前では出さなかった私 .



みんなの前では出なかった私の素が、



どんどんと、仮の私を飲み込んでいく .


(なまえ)
あなた
(………ううん、今は)



そう思って、的の方を見る .



そこの近くに、ふと



見慣れた人影があった .


加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
………
(なまえ)
あなた
(ハヤト……?)



無言でこっちを見ている幼馴染がいた .


(なまえ)
あなた
(………うん、やれる気がする)
(なまえ)
あなた
(ハヤトが見てくれるから)



私はそう思って、矢を放った .


ローレン
黛灰
黛灰
星海透矢
星海透矢




そして、私が射た矢は



見事真ん中に命中したのだった .


(なまえ)
あなた
(皆中、だ………)
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
よし!!!
不破湊
不破湊
よし!!
剣持刀也
剣持刀也
よし!!
甲斐田晴
甲斐田晴
よし!!
(なまえ)
あなた
(なまえ)
あなた
(ハヤト、湊、刀也に晴……)
Mob
______勝者、星灯高校!
(なまえ)
あなた
……



私は何かが湧き上がってくる自分の心を押さえつけて



控え室へ戻った .


清水星羅
清水星羅
優勝しましたね!!
(なまえ)
あなた
だね〜
星海透矢
星海透矢
でも最後、奏星先輩が皆中してくれたから勝てたんですよ
(なまえ)
あなた
そうなの?
星海透矢
星海透矢
はい
(なまえ)
あなた
そっ、か……
(なまえ)
あなた
そういえば、まゆとローレンは?
清水星羅
清水星羅
今きっと表彰されてますよ!
(なまえ)
あなた
そっか……



そうやって話していると、



誰かが扉を開けた音がした .


剣持刀也
剣持刀也
お疲れ様、あなた
(なまえ)
あなた
刀也じゃん
応援ありがと
甲斐田晴
甲斐田晴
やっぱり改めて見ると、弓道ってすごいね……!!
(なまえ)
あなた
晴の矢声も、いつもよりかは出てたよw
甲斐田晴
甲斐田晴
いつもよりかって言うのはやめて!?
(なまえ)
あなた
www
不破湊
不破湊
でもようやったよなぁ〜
不破湊
不破湊
俺ならあの状況で絶対外すで
(なまえ)
あなた
まぁ私だからね
(なまえ)
あなた
それにしても、ハヤトはどこ?
不破湊
不破湊
社長?
多分近くにおると思うけど……
(なまえ)
あなた
あ、そうなの?
(なまえ)
あなた
じゃあちょっと行ってくるよ
甲斐田晴
甲斐田晴
分かった!


ー kgm side ー

加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
………
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
(正直、あの射は凄かった……)



俺は近くにあったベンチに腰掛け



天井を見上げた .


加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
(………凛としてて、綺麗だったな)



静かに的を見つめるあの視線が、



一瞬俺の方を見たような気がして .



でもそんな勘違いをする自分に嫌気がさして .


加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
(……どうしたら、俺の方を見てくれるんだよ)



そよ風に靡くサラサラな髪も、



たまにしか見せない微笑みも、



全てがもう、愛おしかった .


加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
(あなたは、気づいてないんだろう)
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
(俺が10年間、拗らせているのを)



俺は立ち上がると、



ふと、とある人と視線が絡み合った .


加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
あなた?
(なまえ)
あなた
あ、こんなとこにいたの
(なまえ)
あなた
探したんだよ



弓道着のまま、俺のところに走ってきた .


加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
優勝、おめでとう
(なまえ)
あなた
ありがと



そう言って、彼女は俺の隣に立った .


加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
………座る?
(なまえ)
あなた
……じゃあ座ろうかな



そう言って、彼女は隣に腰掛けた .



まっすぐ前を見つめているはずなのに、



何故か何かを見透かしているように何かを見つめて .


(なまえ)
あなた
………応援ありがとう、ハヤト
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
いや、別にそんなこと……
(なまえ)
あなた
ううん
(なまえ)
あなた
あの時、私の視界にハヤトが映ったから皆中できたんだよ
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
え……



勘違いだと思っていたことが、



まさか本当に起きるとは思わなくて .



思わず俺は、目をぱちくりさせてしまった .


(なまえ)
あなた
ふふ、絶対気づいてなかったでしょ
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
いや
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
気づいてた、俺も
(なまえ)
あなた
え……?
(なまえ)
あなた
何で……?
加賀美ハヤト
加賀美ハヤト
……「幼馴染」だからに決まってるだろw
(なまえ)
あなた
確かにそうだねw



ここで「好きだから」とか言えたら、



どんなに楽だっただろうか .





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