あっというまに休憩時間は過ぎ、
私達はついに決勝戦の舞台へと進んだ .
「起立」と言われ、椅子から立ち上がる .
「始め」と言われたので、
弓を引くための準備をした .
私は一本目の矢を命中させた .
この調子で、ニ、三本目を命中させたところで
周りはもう椅子に座っていることに気づいた .
ふと、小学校時代のことを思い出した .
ハヤトの前では出さなかった私 .
みんなの前では出なかった私の素が、
どんどんと、仮の私を飲み込んでいく .
そう思って、的の方を見る .
そこの近くに、ふと
見慣れた人影があった .
無言でこっちを見ている幼馴染がいた .
私はそう思って、矢を放った .
そして、私が射た矢は
見事真ん中に命中したのだった .
私は何かが湧き上がってくる自分の心を押さえつけて
控え室へ戻った .
そうやって話していると、
誰かが扉を開けた音がした .
ー kgm side ー
俺は近くにあったベンチに腰掛け
天井を見上げた .
静かに的を見つめるあの視線が、
一瞬俺の方を見たような気がして .
でもそんな勘違いをする自分に嫌気がさして .
そよ風に靡くサラサラな髪も、
たまにしか見せない微笑みも、
全てがもう、愛おしかった .
俺は立ち上がると、
ふと、とある人と視線が絡み合った .
弓道着のまま、俺のところに走ってきた .
そう言って、彼女は俺の隣に立った .
そう言って、彼女は隣に腰掛けた .
まっすぐ前を見つめているはずなのに、
何故か何かを見透かしているように何かを見つめて .
勘違いだと思っていたことが、
まさか本当に起きるとは思わなくて .
思わず俺は、目をぱちくりさせてしまった .
ここで「好きだから」とか言えたら、
どんなに楽だっただろうか .
Next . それでも心の中は、覗けない





















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。