第128話

10章 3 『過去の経験を糧に』 ④
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2026/07/08 13:00 更新
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 翌日。羽琉は、真凛に計画のお手伝いをお願いする。
羽琉
「渚さんのために、お手伝いしてくれないかな?」
 大好きな渚のためのお手伝いならばと、真凛は頷いてくれた。
羽琉
「ありがとう」
 にこりと嬉しそうに微笑む羽琉の顔を、真凛はじっと見つめる。少し、心が温かいと感じつつ……。
子ども
「飾りつけのお花、作る!」
羽琉
「真凛ちゃんが作り方を知ってるから、一緒に作ってね!」
 真凛の周りに、折り紙を手にした他の子が集まった。恥ずかしそうにしながらも、お花の作り方を伝えていく。
子ども
「わぁ、出来た! 真凛ちゃん、ありがとう!」
 嬉しそうに笑顔を向けられた真凛。少し微笑んで見返せば、相手は益々嬉しそうな顔をする。
子ども
「真凛ちゃんが、笑ってくれた!」
 自分が笑顔を向けたら、喜んでくれるとは……。心が温かくなるのを、今度ははっきりと感じた。



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 ジェンダーリビールのイベントに呼ばれた大海たち。元青い龍の幹部の男たちは、誰一人として、渚のお腹の子の性別は分からないと思われているが……。
理央
「(俺は知っている)」
 ひっそり秘密を抱える理央。バラしたのは、もちろん蘭だ。健診をしたその日のうちに、彼女は理央に渚のお腹の子の性別を伝えていた。ジェンダーリビールの計画が立てられる前であったから、仕方がないのだが……。
理央
「(蘭は、俺に知らせたことすら、忘れているが……)」
 秘密の計画だから、性別はイベント当日まで打ち明けないと理央に宣言した蘭は、自分が既に知らせていたことを忘れ去っていた。
理央
「(蘭の頭は、最先端の医学でも解明できない)」
 理央の密かな秘密など知る由もない大海は、皆と一緒に子どもたちの劇を鑑賞する。
ナレーション役
「海賊たちの間で広がる言い伝えがありました。それは、呪われたタコ焼きを食べると、悪い事が起きてしまうというものです」
 ナレーションを耳にした鷹春が言葉を漏らす。
鷹春
「なんか、随分違くね? 話が……」
「そのまんま演じさせるわけにはいかねぇから、みんなで内容を修正したって、早紀が言ってたけどなぁ」
 にしても、変わり過ぎだ。
ナレーション役
「呪われたタコ焼きを食べてしまった、青い龍の海賊たち。悪いことが起きてしまいます。狙撃手の鷹春君は……」
鷹春役
「う、動けない!」
ナレーション役
「石になってしまいました」
 おそらく、魔物の島でのエピソード。
ナレーション役
「医師と航海士の理央君は……」
理央役
「ど、毒が入ってたぁ!」
ナレーション役
「毒の草を食べてしまいました」
 おそらく、麻薬に侵された島でのエピソード。
ナレーション役
「格闘家の岩君は……」
岩役
「す、すみませんでしたぁ!」
ナレーション役
「怖い上司に怒られてしまいました」
 日常的なエピソード。
ナレーション役
「剣士の伊織君は……」
伊織役
「俺の刀がない!」
ナレーション役
「うっかり、刀をなくしてしまいました」
伊織
「って、あれは隠されたんだ!」
 思わず、伊織は事実をぶちまけてしまった。
大海
「黙れ」
 大海が伊織を黙らせると、劇が再開する。
ナレーション役
「海賊頭の大海君は……」
大海役
「お前は捕虜だ!」
ナレーション役
「好きな子を、虐めてしまいました」
伊織
「マジ話じゃん」
 今度は小声で言いつけてくる伊織を、大海は睨みつけた。
大海
「とにかく、黙れ」
 その間にも、劇は新たな場面まで進行する。
ナレーション役
「悪いタコ焼きに苦しむ海賊たちを救おうと、人魚たちが海賊船にやってきました」
鈴役
「悪いタコ焼きめ!」
雷華役
「私たちが成敗する!」
 人魚役の五人の女の子たちが、悪いタコ焼き役を追いかけて、舞台の上を走り回る。
蘭役
「トドメは、人魚の証ですわ!」
雷華役
「渚ちゃん! 勇気を持って!」
早紀役
「悪いタコ焼きに、当てるんだよ!」
鈴役
「思いっきり!」
 渚役の真凛は、人魚の証の小道具を、思いっきり悪いタコ焼き役の子に投げ当てた。
ナレーション役
「人魚の証の効果で、悪いタコ焼きは消えてしまいました。青い龍の海賊たちも助かり、海も平和になりました。めでたし、めでたし」
 拍手が鳴る中、鷹春は不満をこぼす。
鷹春
「なんか、女たちの活躍の話になってね? これ……」
 男たちは悪いタコ焼きの影響を受けただけで、何の活躍もしていない。
「まぁ、細かいことは良いじゃねぇか。それより、いよいよでやすなぁ!」
 岩が大海の方へ顔を向けた。

 次のエンドロールで、最初に登場するのは、大海役の子か、渚役の真凛か……。渚のお腹にいる子の性別が分かるのだ。
理央
「(俺は、知ってるが……)」
 秘密を持つ理央以外の男たちは、次に登場する者を待ち侘びる。

 曲が流れ、劇を演じた子どもが姿を見せた。その子は……。
伊織
「二人一緒だ!?」
 大海役の子と、渚役の真凛が、手を繋いで出てきたのだ。
鷹春
「一体……どういう……?」
 戸惑いながら、大海の方を見た鷹春。父親になる大海に、困惑した様子はない。
大海
「渚の腹の中にいるのは、双子だ」
伊織
「双子!?」
 驚く伊織に、こくりと頷く大海。
「同じ性別の場合はどちらかが、男女であれば二人一緒だって、お前たちは知らなかったんだなぁ」
 そう言う岩は、双子であることを知っていたようだ。
鷹春
「って、理央も知ってたのかよ?」
 鷹春に問われた理央は、双子であることどころか、性別も知っていたが……。
理央
「まぁ、そうだ」
 秘密は厳守した。
鷹春
「言われてみれば、腹出てるもんなぁ。雷華の時よりよぉ」
 納得する鷹春。けど、伊織は疑問がある。
伊織
「早紀の方が出てたんじゃねぇの?」
「うちの子は、デカい身体で生まれてきたからなぁ」
 岩の息子は、両親譲りで体が大きい。
「大海さんの子どもたちも、元気に生まれてくると思いやすよ」
 大海は、その日を心待ちにしている。



~☆~ 続く ~☆~


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