練習室に一人取り残される静けさが、俺の心のざわめきを際立たせる。床に置かれた紙袋が目に入り、視線をそらそうとしたものの、ジャケットに込められたジェノ先輩との記憶が頭から離れない。
俺は紙袋と自分の荷物を乱暴に掴み、練習室の扉を少し乱暴に開けて宿舎に帰ろうと、エレベーターの方へと歩き出した。まるで何もなかったかのように振る舞おうとしたけれど、胸の内はぐちゃぐちゃのままだ。
弾けるような声に振り返ると、そこにはジェミン先輩が立っていた。彼の軽い足取りが練習室前の通路に響き、俺の顔を見るなりピタリと止まる。
彼と二人で話すのは初めてなのに、一気に詰め寄られる。俺が否定しようとする隙もなく、ジェミン先輩のテンションに押される形で、思わず後ずさってしまう。
俺は一瞬言葉を失う。なんでジェノ先輩の名前が出てくるんだ。どうしてそんなことを聞かれるんだ。まさか、何か知っているのか?
言葉が出てこない。どうごまかせばいいのかも分からない。
ジェミン先輩の言葉に顔が一気に熱くなる。まるで心の中を見透かされたみたいで、パニックになった俺は慌てて否定する。
ジェミン先輩はケラケラと笑い出す。その明るい笑い声が、俺の混乱をさらに煽る。
俺はさらに追い詰められる。そんなこと言われても、ジェノ先輩が俺を気にしている理由なんて全く分からない。
ジェミン先輩はニヤニヤしながら肩をすくめてみせる。
俺はそれ以上何も言い返せず、視線を逸らし、軽く会釈だけしてジェミン先輩と別れた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。