第5話

第1&2乗客 第五話 繋がる2つの真実
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2025/04/11 04:54 更新
彼岸 燈子
それって…?
愛努 留異
この場所は僕が初めてバレエの発表で主役になったステージ。そして、2度と主役を演じることのなくなったステージ
愛努 留異
虐められてるって、言ったでしょ?
彼岸 燈子
愛努 留異
お父さんが褒めてくれるから頑張るけど、結構しんどいんだよ
彼岸 燈子
そっか…頑張ってるんだね
愛努 留異
少し一人にしてくれないかな?
彼岸 燈子
いいよ
またあとでね
愛努 留異
ありがとう
少年の居るあの場所から離れて、ステージの裏方の方へと行った
ステージ裏でおじさんがいた
羊田 牧池
ここの部屋はどう見える?
扉を開き、特に何もない狭い部屋を見せた
彼岸 燈子
狭くて何もない部屋です
羊田 牧池
おじさんにはね、血に染まった部屋に見えるよ
彼岸 燈子
えっ…?
羊田 牧池
ここで、娘は死んだ。いや…殺された
いじめが原因で自殺。
彼岸 燈子
羊田 牧池
すべて思い出したよ
おじさんの娘は虐められていることが発覚した
それは服の下の痣を見つけたところからはじまった
質問すると、暴力や衣装をボロボロにされたりと…
中々に酷いものだった
このステージで初めて主役を演じたステージ
あの日感じた、天使のような姿は
主役を演じた時の娘だった
その時に、先生から凄く褒められたようだった
それと同時に地獄虐めは始まってしまった
次の本番直前では衣装をボロボロにされ、
また次の機会では無理やり薬を飲まされお腹を下し、演じられなかった
普段の練習でも、足を引っ掛けられたりとたくさん酷い目にあっていたらしい
とある日の公演で、事件は起きてしまった。
とある部屋に閉じ込められた。
ナイフだけ置いてある狭い部屋に
それが今いるこの部屋。
おじさんは公演を楽しみに待っていたが、娘がステージに上がることはなかった…
それから数時間探したが見つからず、その日の夜。
清掃中に発見されたという
大切な娘の死体が…
家庭が裕福ではないため、妻は家を出ていき、唯一残された娘は死んだ…
もう生きている意味はなくなってしまった
全てが嫌になったおじさんは敷地の少し外の山の上から、転落…いや、飛び降りた
そうして今、この場所にいる
羊の姿なのはきっと羊飼いの記憶が大きかったからなのだろう
羊田 牧池
こんな人生だったみたいだ
彼岸 燈子
と言うことは…
彼岸 燈子
付いてきてください!きっと後悔はしませんから
羊田 牧池
そこまで言うなら
おじさんの、優しく大きな手を引きとある人の元へ向かった
少年の元へ
愛努 留異
あっ…お姉ちゃん
彼岸 燈子
どう?思い出した?
愛努 留異
うん…
羊田 牧池
この子がどうしたんだい?
彼岸 燈子
話聞いてあげて
少年はバレエをテレビで見てから、頑張ろうと思うようになった
そうしてお父さんはバレエを習うことを許可してくれた
嬉しくて、嬉しくて、スクールが終わったあとも先生にお願いしてたくさん練習をした
他の人が帰ったあとも、日が暮れ始めるまで
たっくさん練習した末、次の公演では主役になれた
公演は上手く行き、全てを知ってる先生は沢山褒めてくれた周りの子は冷たい目で見ていた
それから始まった…
暴力…
何回、自分が男ならやり返せたかと思った…
先生みたいなイケメンだったら嫌われなかったのかな…
なんて思うこともあった
とある日、お父さんが見に来てくれる公演でのこと
主役を勝ち取り、努力の末公演に臨むことになった
だが…
薄暗い部屋に閉じ込められた…
気味の悪いナイフが置いてある
そこで、少年はこんなことを思った
大好きなことを心から愛している家族に見てもらいたいだけなのに…
努力をたくさんしたのに…
ここで頑張ることも、ステージの上に留まっていることすら許されない…
きっとみんなから見たら私は、異なる生物なんだって
いっそのことアイドルのるい君みたい生まれたかった
なんて、考えてみたりした
外から聞こえるバレエの音楽が妙に苦しく胸に突き刺さるから、ナイフでそれを抉り取ろうとして今に至る…
きっと名前は、死ぬ直前に考えていたしょうもないことがきっかけだったのかな…
性別が違うのは男のならって強く思ってたからなんだろうね

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