孝支先輩のえげつない発言から数分後、会場に着き荷物を整理する。
試合の準備をして、少し時間があったのでトイレに行っておこうと思ってその場を離れた。
牛島「誰だろうと受けて立つ」
『……?』
トイレに近づくと、人集りができていたので不思議に思ってるとそんな声が聞こえてきた。
この声、白鳥沢のウシワカでは……?
誰に対して言ってるんだろう、と人と人の隙間から覗いて、思わず気が滅入った。
『げっ、』
及川さんだ。
しかも日向も居るし、!?
日向を助けに行きたいところだけど、及川さんが居るから行けない。(
ごめん日向。我が身のためだ。←
と、心の中で謝ってたら、人集りが徐々に消えていき、普通に見つかってしまった。
及川「あっ、あなたちゃんじゃん!」
『お久しぶりです岩泉さん』
岩泉「おう、久しぶり」
「元気にしてたか?」
及川「ちょっとスルーしないでくれる!?」
『はい、元気でしたよ』
岩泉「そうか、なら良かった」
及川「え俺泣くよ???」
そんないつも通り(?)のやり取りをして、軽く会話を交わしてからその場で解散する。
トイレを済ませて戻ると、ちょうど試合の準備をしてる頃だった。
菅原「あなたまた及川に絡まれたのか!?」
『え、なんで知ってるんですか』
菅原「日向がさっき " あなたが大王様と話してた! " って叫んでたからさ」
『なんでそんなこと叫んでるの……』
日向に若干呆れつつ、孝支先輩が気にかけてくれたことに少し嬉しくなる。
そんな私には気づかず、孝支先輩は私の両肩に手を置いた。
……あれ、なんかデジャブ。←
菅原「またナンパされたのか!?」
『ナンパっていうか、まぁ普通に会話はしましたけど、』
『隣に岩泉さん居たのでそんなに暴走()はしてませんでしたよ』
菅原「ほんとか?」
『ほんとですよ』
『というかなんでわざわざ手置くんですか』
私がツッコむと、孝支先輩は手を置いたまま瞬きを繰り返す。
いや、あの。そんな意外そうな顔で見られても。
菅原「嫌だったか?」
『嫌じゃないですけど、シンプルに手を置く理由がわからないです』
菅原「あ、ごめん完全に無意識だったわ」
『え』
ここに来てまさかの無意識という事実発覚。
……いやほんと、恐ろしいにも程がある。
だってそれはつまり、今までのも全部無意識ってことだ。
『……そういうの、気をつけた方がいいですよ』
『変に勘違いされちゃいますからね』
菅原「え?」
そっと手を退かして、試合の準備をする。
もう勘違いしてしまってる頭では、期待したくなるのでやめてください、とまでは言えなかった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。