城内を全力疾走してて気づいたけど、
やっぱり広い、死ぬほど広い！！
やっぱきつい時こそ歌って紛らわさないとね！
前を見ずただひたすらに走っていたら、
何かにぶつかった感覚がした。
痛くは無いけど……うーん？
私が顔を上げると、見慣れた顔の子がいた。
＿＿椿姫 愛莉、私の…あれ？
愛莉の話す言葉の一部にノイズが走ってよく聞こえない。
聞き返すも結果は同じ…
その後愛莉は何かを察した顔をした。
私は愛莉に抱きついて肩を掴みぐわぐわと肩を揺らした。
今までの愛莉との記憶も途切れ途切れだけど、
私は愛莉を信用出来る、
今までの思い出のおかげで、本能がそう言ってるような…
だけど愛莉は私の手を肩から離して真剣な顔をした。
私は下を俯いて小声でそう呟く。
私は愛莉の腕をガシッと思いっきり掴んで
お城の外へと全力疾走した。
＿＿私の前持っていた能力はなんなんだろう、
今私が持っているオーラ総力は…10万程度、うーん…
そういうと、愛莉は周囲に風を立たせ、
野原全体に愛莉のオーラ質が感じられるようになった。
そう言い残したあと、愛莉は私を置いて
どこかへ転移してしまった。
私は10万程度の心もとない量のオーラで
周りの気配を読もうとしたけど…全くダメだった。
この空間全てに愛莉のオーラ質がする、
しかもオーラ質は均等だから全く分からない…
早くこんな試練やめてママと愛莉のところに行きたい…
けどそれをしたらメリア様に……
私は心を決めて、大ジャンプをしながら走り出した。
空中にいれば罠にかかる確率減るでしょ！多分！！
結果 １回ジャンプしたあとの着地地点で捕まった。
愛莉との過去もモヤがかかっててあまり思い出せないけど、
ママ以上に私を理解してて誰よりも真面目で…
火の打ち所がないってやつだね！火打石もビックリ！！
とりあえずこの網壊さないとなぁ…
能力とかも覚えてないし…
私を囲う網を破壊して、砂埃が目に入らないように
目を閉じたと同時に愛莉が言った通り初期位置に戻った。
なんだろう、愛莉にはまるで思考が読まれてるみたいだなぁ…
……オーラ質的に下級神から中級神、
だけど気配は上級神から最上級神レベル…
地位が全く読めない、感じたことがない気配だなぁ…
私の気配察知能力が衰えた？
そういうと…なんだっけ、……アオミドロみたいなのが
木刀をどこからか取りだし、微動したと思ったら
私は地面にひれ伏せられていた。
あまりにもオーラ質と物理戦闘力の差が激しすぎる、
さっき愛莉が「物理だけなら上級神クラス」って言ってた、
それを一蹴するってことは……
私のつけてる白い帽子、私の10回目の誕生日の時に
ママから貰ったんだよね！！
なんと言ってもママとお揃いだし、ママの手作り！
家宝だね！
愛莉はさっき「野原中に罠をしかけた」って言ってたから
修行が終わってないのに出れるかどうかも怪しい、
というかこのアオミドロ、どうやってここに
入ってきたんだろう、普通に走って来てたけど…
私が困り果ててると、辺り一面に暴風が吹いて
愛莉がアオミドロを能力で倒してくれた！！
私は泣きながら愛莉に抱きつき、
両肩を掴んでゆさゆさ揺らした。
だけど愛莉は私をどかし、アオミドロの方を向いた。
…ルマ？は目をぐるぐると回し、野原に横たわっている。
私に喧嘩売るからだよ！ばーかばーか！！！
そういうと、愛莉は片手に持っていた本を取りだして開いた。
うーん、やっぱりどこか冷めてる！
まあ慕われすぎても気持ち悪いからいいけど！！
