第36話

36.
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2024/06/13 14:06
辰哉side
家の留守は翔太達に任せて、俺と照はあなたの下の名前の捜索へ
何かあってはダメだからと警察の方から「行動するなら二人でお願いします」「何かあればすぐに連絡を」と告げられた
照(次男)
くっそ…もう夜が明けちまう…!
あなたの下の名前が誘拐されて早半日
もし発作でも起こしてしまっていたら確実に命が危ない
辰哉(長男)
探すしかねぇだろ…
照(次男)
っ…おう!



照(次男)
兄貴、ほら
辰哉(長男)
コーヒーか、ありがと…
近くの自販機で買ったコーヒーを投げてきた照
二人とも目の下に薄い隈をつくっていた
照(次男)
工場とか…ありえんのかな…
辰哉(長男)
無断で入れると思うか?
照(次男)
だよな…
辰哉(長男)
…空き家…
照(次男)
え?空き家?
辰哉(長男)
空き家なら…怪しまれずに入れる…
照(次男)
それだ…
俺たちは一気にコーヒーを飲み干して缶を捨て、近くの空き家を手当たり次第探した































辰哉(長男)
ここ、この辺じゃ最後だぞ…
ここにいなかったらもう探すあてはない
缶コーヒーを飲んだのは朝方だったのに、もう陽は紅に燃えて沈みかけていた
照(次男)
頼む…
辰哉(長男)
…行くぞ
照(次男)
おう、
足跡を立てないように壊れた玄関を進む
ギィィ
廊下…オンボロかよ…

空き家だから当たり前だけどさ…
ガコンッ
辰哉(長男)
!?
照(次男)
、!
人がいる!
音を聞いた照はすぐに外へ出て警察に連絡していた
ボロボロに壊れた家の中で、一つだけ頑丈にに閉ざされた扉があった
ここか…
照(次男)
辰哉、警察数分で着くって
辰哉(長男)
おけ
照とアイコンタクトで「開けるぞ」と合図を送る
キィィ…




不快な音がして開いたその扉
中は窓ひとつない真っ白な部屋だった

他の部屋や廊下などからは想像できないほど綺麗だった
あなた
ひゅー…ひゅー…
俺の目に真っ先に入ったのは遠くの方で虚な目をして意識を飛ばしかけている彼女の姿とそれを見てほくそ笑んでいるガタイのいい男の姿だった
照(次男)
てめぇっ……!
辰哉(長男)
照っ!
そう呼び止めた時にはもうあなたの下の名前は意識を失っていて、男は愛おしそうにあなたの下の名前の頬をなぞった
誘拐犯
可哀想に…
誘拐犯
家族に捨てられて、仲直りしたと思ったら助けに来るのに2日もかかってる
辰哉(長男)
お前…あなたの下の名前に何吹き込んだ
誘拐犯
何って?







誘拐犯
"家族にもう見捨てられてるよ"










誘拐犯
ってww
辰哉(長男)
は…?
警察
特殊警備部隊!突入!
誘拐犯
あははっ!あなたの下の名前ちゃんまた迎えにくるからね〜!
狂ってる…
警察
すぐに救急車呼んで!
警察
はい!
警察
お二人ともお怪我は?
辰哉(長男)
大丈夫です…
警察
救急車には我々警察官が同乗させていただきます
警察
申し訳ないのですが一度家にお戻りいただいてから、ご自身で病院まできていただけると幸いです
辰哉(長男)
はい…お願いします、
俺が警察と話している間、照はあなたの下の名前の元を離れなかった

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