田中さんはそう言い捨てて、
病室を出ていった。
樹がベットから降りて、
お母さんを追いかけにいった。
わかっていた。
わかっていたはずなのにやっぱり苦しい。
病室の扉から、母と話す樹を見守る。
自分の手から、
自分の大切なものがなくなってしまう喪失感と、
やっぱり樹のためだけに捧げた自分は、
これからどうしたら良いのか不安で苦しい。
でも、寂しいけど、
樹と親友って距離感になるのもあり?
田中さんと樹が、
ぎゅっとしてるところを見ると、
家族なんだなと実感する。
俺は、完全に一人暮らしになったんだ…
樹と家に帰ってきて、樹は早速荷造りを始めた。
おそろいのマグカップも皿も、
なにもかもなくなっていくのを見てると、
胸が苦しくなった。
樹がいなくなって、
俺は一人で生きていけるのだろうか。
樹が全て話し終えてから、部屋に帰った。
きっと、お母さんのことを
ジェシーにも共有するんだろう。
俺も、慎太郎にこのこと伝えなきゃ。
明日、バイトに伝えよう。ちゃんと。
朝になって、樹が家を出ていった。
今日は、土曜日だから学校ないけど、
バイトには変わらずいくつもりだ。
慎太郎をちゃんと、振れるだろうか。
_____ピンポーンッ












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!