第74話

第74話
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2025/10/11 01:00 更新




 放課後の体育館。



 夕焼けが差し込んで、
 バレーコートの床がオレンジ色に染まっている。









 部活が終わって、
 みんながぞろぞろと帰っていく中――
日向
あなたの下の名前、ちょっといい?



 背後から名前を呼ばれ、
 振り返るとそこには日向がいた。





 いつも通りの笑顔だけど、どこか真剣な表情で。
あなた
どうしたの?忘れ物?
日向
ううん、そうじゃなくて……少しだけ、話したいことがあるんだ




 静かな体育館裏。



 風がそっと吹き抜け、カーテンがふわりと揺れる。






 日向はいつものように笑おうとしたけど、
 その目は少しだけ震えていた。
日向
俺さ……ずっと前から、あなたの下の名前のことが好きだったんだ




 あなたの下の名前の時間が止まる。



 まっすぐで、飾り気のない声。



 どこまでも真っ直ぐな日向らしい告白。
日向
最初はさ、なんか放っとけないって思ってただけだったんだ。
日向
でも一緒に部活したり、笑ってるの見たりしてるうちに――




日向
気づいたら、ちゃんと好きになってた



 胸の奥がぎゅっと締めつけられる。



 何も言えないまま、日向は少し俯いて笑った。
日向
でも……もうわかってる。
 影山のこと、見てるときのあなたの下の名前の顔。








日向
俺じゃ、あんな顔させられない



 夕日が差し込む中、彼の笑顔はどこか寂しかった。
日向
だから、ちゃんと伝えて終わりにしたかったんだ。
日向
言わないままじゃ、前に進めない気がして



 あなたの下の名前は唇を噛みしめた。


 涙が溢れそうになりながら、
 でも無理に笑って言った。
あなた
翔陽くん……ありがとう。そんなふうに言ってもらえて、すごく嬉しい
日向
うわ……名前で呼ばれるの、反則だって……!







日向
でも、告白して後悔はしてないよ。
日向
これからは、友達として――2人のこと、応援してるから!




 そう言って、笑顔を見せる日向。


 その笑顔は、まるで夕焼けみたいに暖かくて、
 切なかった。








 去っていく背中を見つめながら、
 あなたの下の名前は小さく呟いた。
あなた
……ありがとう、翔陽くん





 風が優しく吹いて、あなたの下の名前の頬を撫でた。







 彼の想いが、
 その風に乗ってどこかへ消えていくようだった。



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