ないこのいない公式生配信も、随分と慣れてしまったものだ。
ないこは目が覚めてからも、活動としてはずっと休止状態だった。
リスナーに対しては「目は覚めたが調子はまだ良くない」と伝えて休止としていた。
その中で、来週に報告配信という形で枠を取る事にしたのだ。
それから毎週ファンミーティングに参加するという訳では無いが、少しずつ復帰する。そう計画していた。
今日の配信では来週に少しないこが戻ってきはじめるという報告もした
初兎はてっきり言葉のひとつも覚えていないと勘違いしていたが、ないこはあくまで声の出し方を忘れただけであって、言葉は多少元から覚えていた。
…多少だが
(通知音)
ー2度目の初配信ー
1週間後
オープニングには「らがくの」が流れている。
ないこの復帰配信というこの枠が始まったのはちょっとないこが優遇されただけのほぼいつも通りのファンミーティングだった。
リスナーもないこが帰ってくるという嬉しさと期待に胸を高鳴らせ、いれいすメンバーたちも、久しぶりの6人の配信に緊張していた。
そして…前置きが終わった…
動揺が隠せない
コメント欄が「はい!」と元気な声でうまって動いていく
慣れなさそうな優しい調子から、真面目な調子へと声が変わった。
言葉が詰まる。
自分の記憶が無いことをリスナーに打ち明けようと、その流れも配信前に確認していたはずなのに、突然声が出なくなった。
みんなのことを覚えていないということを伝えるのはとても口が重かった。
すると…
りうらから裏でチャットが飛んできた
それに続いて
メンバーからの応援の声と、「また今度」に言うなんて絶対に嫌だという変なプライドが少しないこの背中を押した
10秒くらいの間が開いた。だがようやく言えた…
コメント欄が「?」でうまる。これ以上説明を自分の口でするのはないこももうメンタルを使い尽くしてしまった。
Ifが慣れたように説明をする。
リスナーたちも動揺を隠せない人や、比較的短期間で戻ってきたことを心配したり凄いと賞賛する声、そして演技だと言い張る決めつけの声が出た。
色んな声を少しずつ目で追ったないこが、Ifの説明が一段落すると語り始めた
「演技」だとか「嘘」という漢字は幸い、ないこにはまだ読めなかった。
ポジティブな言葉が多く見えた

少し照れながら、昔のないこの名台詞を、今のないこが今のないこらしく言うと、応援したいという声が多く上がった。
ほかのいれいすメンバーも裏で心臓を打たれた。
どんどんぱふぱふと効果音が鳴る。
相変わらずの騒がしさ。
Ifがないこがいるので暴れる分、5人の時よりも更にうるさい
ないこがうるせぇと叫んだのはいつぶりなのだろうか。懐かしさと嬉しさがみんなの心に笑いと感動を与えた


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。