第3話

血塗れ好青年
314
2025/10/21 09:00 更新
ini.
やっぱ魚だったね、当たり!
nb.
う〜ん…乾の勘はよく当たるなぁ
 
夕飯を食べて、食堂から部屋へと戻る帰り道。
もう夜も更けて、窓の外は闇の帳がかかっている。
gn.
…あっ!?
ini.
えっなに、声でか
gn.
…教室に忘れ物しちゃいました
nb.
あちゃー…一緒に行こうか?
gn.
いや…もう遅いんで、大丈夫です
ini.
気をつけろよ〜

===



カツ、カツ、と、長い廊下に足音が響く。
当たり前に校舎には誰もおらず、電気も消えていた。
gn.
…暗いな
この暗さでは、忘れ物なんて探せやしない。

…と、なると
gn.
…「灯火リュミエール

小声で呪文を唱えると、足元が明るく照らされる。
授業で習った基本魔法も少しは役に立つな。


そのまま教室まで歩いて、無事忘れ物を見つける。
gn.
…やばっ、そろそろ帰んなきゃ
と、思ったその時。
ガタガタガタッ!!
gn.
ひえっ?!
gn.
……何、今の音
gn.
誰か居るんですか…??

呼びかけてみるも、何も返事は無い。
広い廊下に僕の声だけが反響する。
gn.
…暗くて見えないな
gn.
明るさ上昇プラス・ルミナス
gn.
…え

より明るくなった地面。そこには…
gn.
血痕…、!?
gn.
え、なになに待って怖いって!?
gn.
居るなら早く───
???.
…だぁれ?
gn.
ひっ、!?!?

ズル、ズル、ズルズル。
布を引きずる音が、徐々にこちらへと近づいてくる。
gn.
…え、あ…やだ…!!
???.
わっっ!!!!
gn.
ぎゃー!!!!!
???.
ふへへへっ、おーどろーいたー!!
gn.
…え、?

目の前に現れたのは…人間、の男の子…?
サラリとした黒髪に翡翠の瞳。頬には、いくつも連なったホクロ。
好青年、とも呼ぶべき見た目の彼は、血塗れで僕の前に立っていた。
校舎にいるということは学校関係者なんだろう。だが、僕は彼を見たことが無かった。
 
???.
…ねー、伊沢って人どこにいるか知らない?
gn.
、伊沢さん…??

伊沢拓司。「生徒施設会」と呼ばれるこの施設を取り纏める係でトップの会長を担い、この学校で最高クラスの15クラスに属する先輩だ。
成績優秀で戦場へ何度も出向き、高成績を残している彼は、学校で知らない人は居ない程の有名人。
…でも、なんで彼がそんな伊沢さんのことを…?
gn.
…多分、今は部屋にいると思い、ます
gn.
(こういう時って敬語使うべき…だよね?)
???.
んー、そっか。ありがとー!!
gn.
いえ…とんでもない、
???.
ねね、名前なんて言うの?
gn.
えっ、!?

…こういう場合、名前なんて重要な情報を初対面の人に教えてはいけない。
gn.
…東言、です

でも、その時の僕は、まるで口から滑り落ちるかのように教えてしまっていた。
???.
言、じゃあ言ちゃん!!
mn.
僕は問!!
gn.
問、さん
mn.
問ちゃんでいいのに
gn.
じゃあ、問ちゃん…?
mn.
うん!それがいい

爽やかな笑顔でそう言われる。
…なんだか変な気分だ。
mn.
…あ
gn.
え…?
mn.
伊沢さん、こっち来てる

…何を急に言い出すんだ、彼は。
そんなことあるわけ ───
izw.
あっ、おい問!!!!
izw.
帰ったらまず俺の部屋!!…って何度も教えだろーが!!!

…あ、った。
mn.
えー、ちょっとくらいいーじゃん!!
izw.
だーれが血塗れの廊下掃除すっと思ってんだ!!
mn.
うーー!!離してー!!!

この問ちゃん?という彼の予言通りに急に現れた伊沢さんは、ひょいっと問の襟元を掴んで担ぎあげてしまった。
izw.
…お?君は…
gn.
あ、えと…その…
izw.
13クラスの東言か。
いやー、すまないねほんと…
izw.
おやすみ。いい夢見なね

流石生徒施設会会長、といったところ。
決して少なくはない全生徒の名前を、クラスまで完璧に覚えているのだろう。
さらっと俺の名を当てた後、華麗におやすみを残していった。
gn.
あっ、はい。どうも…
izw.
…さーて、帰るぞ問。これ以上暴れたら紐で引きずるからな
mn.
いだい、いだいっ!!
mn.
お話してたのにー!!!
izw.
しー!夜中だから、静かに!!
mn.
…ん、言ちゃんじゃーねー!!
gn.
あ、うん…またね、?

そう言い残して、賑やかそうに(というより騒がしく)しながら、2人は長い廊下へと消えていった。

===
 
部屋に戻って、頭がすっぽり埋まるほど布団を被る。
…どれだけ寝ようと思っても、血塗れの彼が僕の頭から離れてくれなかった。
 

プリ小説オーディオドラマ