第11話

説教と説得
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2025/09/28 22:21 更新
ー佐々木家前ー
ピーンポーン
右手がインターホンを鳴らす。
と、数秒もしないうちに、家主は出てきた。
佐々木千秋
数っ!
千秋はそう叫んでドアを開く。顔は真っ青。その隣にいる右手を見て、数に言いたかったことを飲み込んだ
佐々木千秋
数、この方は?
星喰右手
夜分にすみません。ネスト序列50位、ナイトアウルの記録者、星喰右手です。
星喰右手
うちの探偵が、迷子になってる数さんを見かけまして、事務所に連れてきたのですが、長い時間引き止めてしまい…
右手は少し申し訳なさそうに笑み、そう説明する。
星喰右手
こちらが家とのことで、お送りした次第です。
佐々木千秋
そうですか…ありがとうございます。
そう言って、千秋は頭を下げた。
星喰右手
いえ、こちらこそ、申し訳ありません。
星喰右手
では。
そう言って、右手はその場を去った。
その後、数は千秋に問答無用で家に引きずり込まれたのは、言うまでもない。
ー佐々木家内ー
リビングで正座しているのは、もちろん時野数。そして、その周りを夏都、千秋、春香、冬馬が囲んでいる。文字通り八方塞がりだ。
佐々木冬馬
数、何か言いたいことは?
時野数
…ごめんなさい。
佐々木夏都
俺たちがどれだけ心配したか、分かるか?
佐々木春香
そうよ、全く、あの引きこもりの夏都が自分で外を探し回ってたの。
時野数
…ごめんなさい。
佐々木千秋
数、今回もそうだけど、最近、夜に外出しすぎよ。
佐々木千秋
その歳で、TOKYOCITYの夜を歩くのは危ないわ。お願いだから、もうやめて。
時野数
数はしばらく沈黙する。千秋が心から心配していることも、夜街が危ないことも知ってる。
時野数
ごめんなさい。それはできない。
時野数
私、お姉ちゃんを探したいの。
佐々木千秋
佐々木千秋
あやちゃんは、そんなこと望まないと思うわ。
佐々木千秋
数が、危険な目に遭うのは。
時野数
わかってる。でもね。
時野数
探さなきゃいけないの。
時野数
ありがとうって、
時野数
困ったならなんでも頼って欲しいって、
時野数
私はもう大丈夫だよって、
時野数
伝えなきゃいけないの。
時野数
お姉ちゃんが、ちゃんと自分の人生生きれるように、してあげたいし、私も、もう一度だけ会って、ケジメつけたい。
時野数
だから、
時野数
お願いします。
深々と頭を下げる数に、千秋は昔を思い出す。
ピンポーン
佐々木千秋
はーい
千秋がドアを開けると、そこには一人の男子と、女子がいた。
家を間違えたのか、夏都の友達か。後者はあり得ないだろうと思いつつ、千秋が声をかけようとする。
その前に、男子の方が頭を深く下げる。
???
俺たちを、ここに住ませてくれませんか。
佐々木千秋
…は?
???
俺は火川あや。こっちは妹のすずだ。
???
子どもが二人いますよね。受験を控えている。
???
俺を家庭教師として、そして家政夫としてここに住み込ませてくれませんか。
???
息子さんの明々後日のテストで、点数が上がらなければ、俺を警察に出すなりお金を請求するなり何をしてもいい。
???
料金は、もらわない。
???
ただ住む場所と、食事だけ用意してくれればいい。朝ごはんと平日の昼はいらないから。
???
妹に、ちゃんとした生活させたいんだ。
???
お願いします。
千秋は、この時、何故か二人を受け入れた。ただ、あや、という少年、いや、少女が放つオーラに惹かれたのだ。
5日後、あの不登校で成績常に最下位の夏都がテストで満点をとった。
佐々木千秋
…分かったわ。
時野数
…え?
佐々木夏都
母さん?
佐々木千秋
ええ、本当に、よく似た双子ね、あなた達は。
佐々木千秋
ただ、今回のようなことはやめてちょうだい。
時野数
うん!分かった!千秋さんありがとう!

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