第7話

ご令嬢喧嘩を購入する
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2024/11/05 11:57 更新


ヌメーレ湿原。通称"詐欺師の塒"


この湿原にしかいない珍奇な動物達、その多くが人間を欺き食糧にしようとする狡猾で貪欲な生き物である
だまされると死が待っている。だからこそ詐欺師の塒なのである
湿った風が頬を通ると後ろの地上へと繋がる階段はシャッターが降りた。

"時間切れ"という事なんだろう
「この湿原の生き物はありとあらゆる方法で獲物をあざむき捕食しようとします。だまされることのないよう注意深く、しっかりと私のあとをついて来て下さい」



試験官は変わらない表情で淡々と告げる



既に息の上がった奴が何人かいる中、そんな奴等を煽るように再び湿っぽい風が吹いた


「ウソだ!!そいつはウソをついている!!」



突如としてその場に大きな声が響いた



__いったいどんな輩だ?と思い振り返ると
階段のかげからボロボロの男がおぼつかない足取りで登場した。



「そいつはニセ者だ!!試験官じゃないオレが本当の試験官だ!!」




__コイツ何を言い出すかと思ったら…くだらねぇな。そもそもこんな所で怪我する奴をハンターとは呼べねぇし



これを見ろ!!と自信ありげに男が出したのは男とお揃いでボロボロの猿



「ヌメーレ湿原に生息する人面猿!!新鮮な肉を好むが非常に力が弱い。そこで人に扮し他の生き物と連携して生け捕りにするんだ!!そいつは受験生達を一網打尽にする気だぞ!!」



男が試験官に指を指すと数人がざわついた



__なわけないだろ馬鹿共が。
と思い騒ぎから目を離しつまらなさそうに明後日の方向を向く


___がしかし

『!!』




あなたは間一髪でトランプを止めた

周囲を観察すると、どうやらトランプはある人物から
3方向に飛ばされたらしく


1つはあなた。
2つは男の元で男は顔に喰らい絶命していた。
そして最後は試験官の元。
これは当たり前だが華麗に受け止めている


その場に居た全員がトランプの持ち主に視線を向ける中
ゴンとキルアはあなたの元に駆けつけた


「あなた!大丈夫?」


心配そうに様子をうかがうゴンには目もくれず


あなたはとんでもない形相で舌打ちし
トランプの持ち主を睨みあげた


殺気ただようあなたを見兼ねたキルアは
慌ててあなたを制す


「ヒソカは危険すぎる仕返ししようだなんて思うなよ」


__ヒソカか…名前と顔覚えたからな絶対ぶっ飛ばす。


『安心しろ。売られた喧嘩はおつりが返ってくるくらい高値で買う筋だ』


グシャとトランプを握りつぶす


キルアはつきたかった溜息を飲み込み
呆れた表情で言った


「オレは止めたからな…」

『おうよ』



返事はするものの、あいも変わらずヒソカから目をそらさないあなた

それに対してヒソカは楽しそうに笑みを浮かべるのだった


「なるほどなるほど♧」


その時、薄っすらと目を開けた猿が鳴き声を上げながら
その場を退散しようとした所をヒソカがトランプで殺害する


「あの猿死んだふりを……!?」


誰かがそう言った。


『やっと気づきやがったか。馬鹿共』

「これで決定♢そっちが本物だね♡」


試験官に目線が集まる
ピンとトランプを弾き捨てた試験官はヒソカに警告をした

「次からは試験管の反逆行為として即失格とします。よろしいですね」

「はいはい♢」


すると男の遺体に鳥が群がい貪った
ここで死んだ敗者は皆きっとあのようになるのだろう


「…自然の掟とはいえ。えぐいもんだぜ」

『仕方ないだろ、ああでもしないとアイツらは生きていけねぇんだ。弱肉強食の世界に倫理なんて存在しねぇよ』


「こうした命がけのだまし合いが日夜おこなわれているわけです。何人かはだまされかけて私を疑ったんじゃありませんか?」


試験管の問いに数人が頭をかいた
レオリオもその1人である


__大丈夫かコイツ。すぐ死んじゃいそうだな…
という感想は一旦心の隅に置いといて

私は試験再開と共にゴン達と少し離れた


「どこ行くんだよ」

それに気づいたキルアが私に声をかける

『ハンターの卵らしく、ちょっと一狩り行ってくる』

「…死んでも知らねぇからな」


私達の会話についていけていないのか
ゴンは頭上でハテナを浮かべている


そんなゴンを置き去りにあなたは別方向へと走り出した

「ゴンもっと前に行こう」

「え?あなたはどうするの」

「アイツはいいんだよ。そんなことよりヒソカから離れた方がいい。あいつ、殺しをしたくてウズウズしてるから霧に乗じてかなり殺るぜ」


ゴンはその言葉に対し先程別方向へと駆けていったあなたの背中を思い出す。

__あなたのこと心配だな…


そう思った途端ゴンは言葉より先に体が動いていた


「おい!ゴン?!」

「大丈夫!ヒソカが危ないってあなたに伝えにいくだけだからー!」



キルアは脳内で叫んだ

__そのあなたがヒソカ殺ろうとしてんだよ!!

何度も呼び止めるが幼い背中は止まらない

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