第7話

no.6
210
2022/02/23 07:19 更新


結局、自分が家を出る時間になっても母は起きてこなかった。


あまり心配はしていない。様子も確認していない。


まぁ、よくある事だ。




電車に乗り込み、スマホをぼーっとながめる。


なんのアプリも起動していない、なんなら電源も入れていないスマホを、だ。
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
(何しよっかな)

そして、ふと今朝の夢のことが頭をよぎった。


なんだっけ…前見たやつと同じような…



前、とは言っても昨日…?一昨日かな?の事だ。




記憶力の悪さが出てしまった。
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
(今朝のは、やけにあっさりしてたなぁ…)

記憶の限りでは、電車にいると自覚して、その直後に海へ落ちた。



そして…また、海の中に沈んだ…。


まるで沈むことを望んでいたかのように、気持ちよく目を閉じた気がする。




…と、そこまで考えて、やめた。




なんだよ、別にそんな死にたくなるようなことなんて無いじゃないか。


なんなら、今の生活ができてるだけ幸せじゃないか。


これ以上、何を求める。

相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
(特別なんて、望まない。)


だって、私が特別な人間になったら、幸せというものに気づけそうにない。

相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
はぁ…

やめよう、こんなの、考えたって無駄だ。


自分が、というか、家族自体、悲観主義なところがある。



おかげでこんな事を定期的に考えてしまう。


人に流される、変なとこで頑固になる、飽きっぽい、負けず嫌い、めんとくさがり………などなど



余計なところばかりを受け継いでいる気がする。


短所を教えてくださいと言われたら、かなりの数が出てきそうだ。



何だかんだ、学校の最寄り駅までの時間をくだらない想像で使い果たした。




一度、こんなことを考え出すと、まるまる1日、ネガティブモードになってしまう。


やめよう、やめよう、何度そう思ったことか。


しかし、そう思うのはいつもネガティブモードの時だ。



どうせ無理だと諦める、この繰り返し。


友達にもそっけない対応をしてしまう。


まるで子供だ。


変わらないねぇ…。


今日もまた直すことができず、放課後ですよ。
御崎蓮(みさき れん)
御崎蓮(みさき れん)
おーい、大丈夫か……?
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
ん?

あぁ、御崎くんか。


ぼーっとしていたから、すぐに反応できなかった。
御崎蓮(みさき れん)
御崎蓮(みさき れん)
もう、みんな帰っちゃって残ってるの、相川さんだけだぞ?
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
え、うわ、やっば

周りを見れば、教室の電気も消されている。



私達を照らしていたのは、窓から差し込む夕陽だけだった。
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
あー、ごめん、やらかした。帰んなきゃ…。
御崎蓮(みさき れん)
御崎蓮(みさき れん)
あは、相川さんて、割としっかりしてそうなのに意外だな。

そりゃ、表向きの顔ですから。しっかりしてるように見せてるだけだ。


裏では悲観主義の頭がおかしいやつですよ、なんて皮肉ったが口には出さない。
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
まぁ、ちょっとね。
御崎蓮(みさき れん)
御崎蓮(みさき れん)
ふーん…?無理はすんなよ?
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
………。
御崎蓮(みさき れん)
御崎蓮(みさき れん)
さ、帰ろう。
相川星奈(あいかわ せな)
相川星奈(あいかわ せな)
あ、あぁ、うん

自然と一緒に帰る流れになった。


御崎くんと話して、さらには途中までだが一緒に帰るのも、周りの人がいないから気にせずにすんだ。


歩き出す。



廊下には二人分の足音が響く。



この人、勘違いしてたけど嫌いじゃないかもな。



無意識かどうかは分からないが、他人の事情を深くまで聞いてこないし、無駄に心配もしない。



歩きながらなんとなく、窓の外に視線をやった。




夕陽が煌めき、きれいで、眩しかった。

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