R18(軽いキスシーンを匂わせる表現有り)
あの日は本当に運がよかったんだと思う
その日は雨が降っていて鞄に入れていた傘をさしながら近道をしようと思って裏道に入った
たまたま血だらけの彼を見て
『綺麗』だと思った
真っ黒の髪も
真っ直ぐな瞳も
そして引き寄せられるような彼の雰囲気
好きだと思った。
あなたの名前『好き』
彼は固まって少し笑った後
甚爾「……物好きだな」
そう言って私の反対側に向かった
咄嗟に引き留めなきゃそれしか思いつかなくて
あなたの名前『あの!家来ませんか!……あ、血だらけだし今雨降ってるし……』
甚爾「ンだよ金くれんのか」
金?!
あなたの名前『金?!』
思ったことがスルッと隙間から抜けるように出てきて急いで口を塞いだ
落ち着いた後に説明をしようともう一度慎重に口を開く
あなたの名前『私が言っているのはお風呂に入りませんかというので決してお金を渡しますと言っている訳……』
話している最中にまだ名前も知らない彼が近づいてきて気付いたときには全てがスローモーションに見えて
彼の唇がゆっくりこっちに近づいて
ちゅっ
可愛らしいリップ音が雨の音の中にゆっくり沈んでいくように私の腰がゆっくりゆったり濡れた地面近づいていく
甚爾「堅苦しいのは嫌いなんだよ」
彼の貞操観念を少し疑う
はじめましての人間にフレンチキスをかますのはまともな人間ならやらないだろう
いやまずライトキスでも駄目な気が………
ぐるぐる考えていると首元に鋭い痛みが襲った
あなたの名前『い゙っ゙』
甚爾「人がわざわざ深いのしてやったのによそ見してんじゃねぇよ」
あなたの名前『望んでなかったですし初対面で普通します?』
貞操観念を疑いますと付け足したところで体が浮いた
ジェットコースターであるだろう?一気に上がったり下がったりして頭がクラクラするあの感覚
あなたの名前『ゔっ』
一気に廃ビルの一番上まで来ていた
いつの間にか雨は止んでいてぽつぽつと水溜りができていた
あなたの名前『自由人過ぎる………』
甚爾「お前ん家どこだよ」
連れてってくれるんだろ?とニヒルな笑顔を私に向けた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!