あぁ、もうだめだ
私の腹部からは全身の血の気が引くような赤一色の純血が流れ出てゆく
その血は目の前にいる、私を襲った暗殺者の靴に迄辿り着いていた
もう喉には血が溜まっていて、咳をするたびに、全身が悲鳴をあげる。
視界はもう霞んで真っ暗だった。
目も、焦点が合ってないのが分かるほど、目まぐるしい
ふと、とある少年の声が聞こえた気がした
その声は威圧的な声で、何処かで聞いたことがあった声だった。
貶されている気もしたが、悪い気はしなかった。
威圧的な声でも、とても優しい声
幻聴だろうか
あぁ…全く、彼の言う通りにしとけばよかった。
威張らなければよかった。
彼の前では、私は赤子だというのに。
私を潰すなど、彼にとっては赤子の手を捻るようなものなのに。
人生の最終地点、死の間際で私はようやく気づいた。
私は、民の為に働いていなかった。
自分の為に働いていたのだ。
民の税金もすべて私腹を肥やす為に使った。
増税なんぞ、日常茶飯事で、
闇オークションが開かれてる事実を黙認した。
そんな私を見かねた神が遣いを出したのだ。
でなければあのような権力者、人間にいてはならない。
あんな馬鹿げた頭脳、禁断の話術、世界屈指の統率力。
そして、圧倒的な戦闘能力。
あぁ、無理だ。あんなの人じゃあない。
彼が私に遣わされた者達も言っていた。
「彼は人間ではない」
「人間の領域を絶してる」
私はなんと愚かだったのだろうか。
そして、私の死が各国の大統領への牽制になるのだろう。
あぁ、嫌だ。死にたくない。
思考は終わらないまま、
視界は暗転した。
NOside_
ふと、少年は窓から覗く満月を眺めていた。
パタンと閉じた本を撫でながら。
もう一人の少年は月を眺めている少年に疑問を投げた。
そうぎこちなく笑った少年の靴は新品だった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。