第32話

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2025/01/30 09:14 更新
海老原 恵那
海老原 恵那
謝らないで……悪い事なんて、してないでしょ?
江橋 斗和
江橋 斗和
……けど……
海老原 恵那
海老原 恵那
私は、嬉しいよ……斗和の事が……大好きだから、驚いたけど、キスされたの、嬉しいよ
江橋 斗和
江橋 斗和
恵那……
海老原 恵那
海老原 恵那
だから、謝られたら……悲しくなっちゃうよ……
 恵那のその言葉に、斗和は胸がキュッと締め付けられ、再び彼女を抱き締めた。

 そして抱き締められた恵那は、彼の背に手を回してギュッと抱き締め返す。

 お互い恋愛初心者の二人は、まだまだ手探り状態。

 それでも、一歩ずつ歩みを進めていて、日々お互いを想う気持ちは増していき、キスだって、それ以上の事だって、大好きだからこそ、したい、して欲しいという思いは常に頭の中にある。
海老原 恵那
海老原 恵那
斗和……もう一度、して?
江橋 斗和
江橋 斗和
そういう事、そんな顔して言うなよ……キスだけじゃ、止まれなくなるじゃん――
海老原 恵那
海老原 恵那
――ッんん……
 正直なところ、こんな事をしている状況では無いのだけど、斗和は斗和でずっと我慢してきた。

 恵那が大切だからこそ、焦って嫌われたくないと思っていて、なかなか行動に移せなかったのだ。

 だけど、それは恵那も同じだった。

 恵那は恵那で、ずっと斗和に触れて欲しかったし、もっともっと愛情表現が欲しいと思っていた。

 ようやくお互いの気持ちに改めて触れる事が出来た二人は、短く触れるだけのキスを何度か繰り返す。

 そんな時、斗和のスマホの着信音が鳴り響いた事で二人は我に返って唇を離した。
江橋 斗和
江橋 斗和
……悪いな……
海老原 恵那
海老原 恵那
ううん、大丈夫
 名残惜しげな表情を浮かべる恵那に謝ると、身体を離した斗和はズボンのポケットに入れていたスマホを取り出して電話に出た。
江橋 斗和
江橋 斗和
忍か、どうした?
 電話の相手は忍からのようで斗和は彼の話に耳を傾けると、その表情はみるみるうちに険しいものへ変わっていく。

 そして、電話を終えた斗和は怒りを抑えきれない様子で切れたスマホをギュッと握る。

 そんな斗和を間近で見守っていた恵那が、『どうかしたの?』と少し遠慮がちに問い掛けると、
江橋 斗和
江橋 斗和
……事情を聞かれて警察に連れてかれてた一二三と星矢が解放されて家に帰る途中、二人がそれぞれ別の場所で襲撃を受けて病院に運ばれたって
海老原 恵那
海老原 恵那
え? 酷い……。でも、どうして忍くんが知ってるの?
江橋 斗和
江橋 斗和
ああ、言って無かったけど、アイツら三人は家が近所の幼馴染みなんだよ。だからアイツらの親が忍にいち早く知らせて来たらしい
海老原 恵那
海老原 恵那
そうだったんだ。それで、二人は大丈夫なの?
江橋 斗和
江橋 斗和
ああ、まあ、怪我はしてるけど入院する程ではねぇらしい。ただ、襲ってきた奴らは覆面してて顔は分からなかったって言ってるらしい
海老原 恵那
海老原 恵那
……どうして、二人がそんな目に……ただでさえ例の事件の疑いをかけられたりしてるのに、疑いが晴れたら今度は襲われるなんて……
 心配する恵那に斗和は、プリュ・フォールが疑われているという話がある事を今ここで伝えるべきか迷っていた。

 けれど、遅かれ早かれ話をしなければならないだろうと判断した斗和は、
江橋 斗和
江橋 斗和
――実はな、この前学校に俺が例の事件の首謀者で、プリュ・フォールのメンバーが事件に関わってるって内容の紙が送られて来てたんだ
 先日担任から呼び出された時に聞いた話を恵那に打ち明けた。

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