恵那のその言葉に、斗和は胸がキュッと締め付けられ、再び彼女を抱き締めた。
そして抱き締められた恵那は、彼の背に手を回してギュッと抱き締め返す。
お互い恋愛初心者の二人は、まだまだ手探り状態。
それでも、一歩ずつ歩みを進めていて、日々お互いを想う気持ちは増していき、キスだって、それ以上の事だって、大好きだからこそ、したい、して欲しいという思いは常に頭の中にある。
正直なところ、こんな事をしている状況では無いのだけど、斗和は斗和でずっと我慢してきた。
恵那が大切だからこそ、焦って嫌われたくないと思っていて、なかなか行動に移せなかったのだ。
だけど、それは恵那も同じだった。
恵那は恵那で、ずっと斗和に触れて欲しかったし、もっともっと愛情表現が欲しいと思っていた。
ようやくお互いの気持ちに改めて触れる事が出来た二人は、短く触れるだけのキスを何度か繰り返す。
そんな時、斗和のスマホの着信音が鳴り響いた事で二人は我に返って唇を離した。
名残惜しげな表情を浮かべる恵那に謝ると、身体を離した斗和はズボンのポケットに入れていたスマホを取り出して電話に出た。
電話の相手は忍からのようで斗和は彼の話に耳を傾けると、その表情はみるみるうちに険しいものへ変わっていく。
そして、電話を終えた斗和は怒りを抑えきれない様子で切れたスマホをギュッと握る。
そんな斗和を間近で見守っていた恵那が、『どうかしたの?』と少し遠慮がちに問い掛けると、
心配する恵那に斗和は、プリュ・フォールが疑われているという話がある事を今ここで伝えるべきか迷っていた。
けれど、遅かれ早かれ話をしなければならないだろうと判断した斗和は、
先日担任から呼び出された時に聞いた話を恵那に打ち明けた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!