第3話

♯3
5
2026/01/10 04:09 更新
白里美優
白里美優
こらそこー、喧嘩しなーい
白井優斗
白井優斗
こいつが悪い!
白里悠真
白里悠真
いやこいつが!
美優の仲裁に反論するのは、犬猿の仲の優斗と悠真。
白里勇気
白里勇気
二人とも、それ姉ちゃん怒らせるだけだからやめとけ…
白里悠真
白里悠真
黙れチビ!
白里勇気
白里勇気
誰がチビだ!
こうして、勇気も喧嘩に混ざることが多い。
白里裕亜
白里裕亜
…何やってんだお前ら
白井優斗
白井優斗
テメェには関係ねぇ、老け顔!
白里裕亜
白里裕亜
あ?
裕亜は別に老け顔というわけではないのだが、荒ぶった感情の彼らはそんなこと知ったこっちゃない。
白里美優
白里美優
…ねぇ、4人とも?
美優が先ほどまでとは打って変わった冷え切った声を出す。彼女の後ろでは穂乃果が、四人の怒りのオーラと美優の冷たい怒りのオーラをモロに受けて、いつもよりかなりオロオロしていた。
白井優斗
白井優斗
み、美優…
白里美優
白里美優
喧嘩しないでって言ったよね?なーんで毎回毎回注意してるのに聞いてくれないの?
白里悠真
白里悠真
そ、それは…
途端に挙動不審になる四人。
起こった美優が怖いことが幸いか、それとも全員美優に嫌われたくない気持ちが強すぎることが幸いか。
モブ〔使い回し〕
見つけたぞ…My…
白里美優
白里美優
?…
突然『My』と、美優たちのチーム名を口に出した男。
美優はその男の方を一瞬見るが、すぐに視線を戻して歩き出した。
モブ〔使い回し〕
無視すんな!
それを見た男は、美優に殴りかかる。
モブ〔使い回し〕
今度こそ、お前らをボコボコに…
だが美優はその男を避け、足を引っ掛けて転ばせる。彼女の本気はまだまだこんなものじゃないが、人としてやり過ぎないという常識は持っているので、とりあえずはこのくらいにしているのだ。
白井優斗
白井優斗
…美優
白里美優
白里美優
わかってる
白里悠真
白里悠真
今日は多いな…
Myはよく、こういう奴らに絡まれる。
…十中八九、美優がきっかけだ。
モブ〔使い回し〕
うぅ…
結果はいつも通り、Myの圧勝。
相手はみんなボロボロなのに美優たちはかすり傷ひとつないので、さすがと言える。
白里悠真
白里悠真
なあ兄貴、俺のピアス、傷とか汚れとかついてねぇか?
白里裕亜
白里裕亜
…ん、ついてねぇ
白里悠真
白里悠真
了解
白里勇気
白里勇気
そんなに汚れが気になるなら、つけなきゃいいのに
白里悠真
白里悠真
そういうわけにはいかねぇんだな、これが
裕亜が悠真のピアスを確認し、悠真はその結果に安心した。つけなければいいのではないか、という勇気の意見には優しく話す悠真。
優斗と話す時とは大違いだ。
白里悠真
白里悠真
これは…形見みたいなものだから。…あいつもこれ、大事にしてくれてたらいいんだがな…
悠真の『あいつ』発言が気になったものは多かったが、右耳の赤いタッセルピアスをどこか悲しそうな目で見つめながら触る悠真を見て、誰も何も言えなかった。

その静寂を破ったのは優斗だった。
白井優斗
白井優斗
何沈んだ空気にしてんだ、悠真
白里悠真
白里悠真
は?
白井優斗
白井優斗
こっちはさっきのチンピラどものせいで腹減ってんだよ、今日の飯、お前が作るって言ってただろ、さっさと作れよ
白里悠真
白里悠真
……
白井優斗
白井優斗
…なんだよ
その言葉は、優斗なりの気遣いだったのか。
いずれにせよ、空気は軽くなった。
白里悠真
白里悠真
…いや、何でもない。
さっさと食いてぇなら手伝え。
白井優斗
白井優斗
は?
白里悠真
白里悠真
手伝わねぇならお前に飯はやらねぇからな。ほら、さっさと来い
白井優斗
白井優斗
…やっぱお前嫌いだわ
白里悠真
白里悠真
奇遇だな、俺もだ
その後は何だかわちゃわちゃと過ごしたMyなのだった。
白里悠真
白里悠真
あいつ、元気にしてんのかな…
悠真のそのつぶやきには、誰も気づかなかった。
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…星、見えねぇな
街のどこか。一人の男は空を見上げ、顔をしかめた。


彼の名は『京也』。
京也
京也
3人で見たあの空が、一番キラキラ輝いてて綺麗だった…
その時の光景を思い出しているのか、彼はどこか遠くを見るような目をしていた。
京也
京也
あいつは家に戻ったか、それとも死んだか…
そう言いながらも彼は、『あいつ』が死んだとは思っていなかった。
京也
京也
あいつには『帰れる家』がある。俺には…そんな場所、もうない。
彼にだって家はある。だが心の底では家だと思えなかった。
彼はため息をひとつつくと、手に持っていた空き缶をゴミ箱に捨てた。
京也
京也
イクゾー、俺はどうしたらいいと思う?
彼は虚空に問いかける。返事はないと知っていながら。
京也
京也
…ユーマはどうしたんだろうな
イクゾー、ユーマ、そして京也。この3人があの空を見たものたちなのだろう。






















京也はそのまま、闇の中に消えていった。彼の左耳には悠真のピアスとよく似た赤いタッセルピアスが揺れていた。
白里悠真
白里悠真
…育三、京也…
悠真のその小さな声は、誰も聞いていなかった。

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